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「骨太」が示す“地域医療構想実現改定”[お茶の水だより]

No.4860 (2017年06月17日発行) P.18

登録日: 2017-06-15

最終更新日: 2017-06-15

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▶『骨太方針2017』では、「地域医療構想の実現」という文言が繰り返し出現する。来年4月に控える診療報酬・介護報酬同時改定に触れた項でも、「地域医療構想の実現に資するよう病床の機能分化・連携を更に後押しするため」と前置きした上で、入院基本料のあり方や、新たに創設される介護保険施設「介護医療院」の介護報酬・施設基準等を検討し、「介護施設や在宅医療等への転換などの対応を進める」との方針が打ち出されている。
▶2025年時点の医療需要の推計に基づき、医療機能ごとの病床の必要量を記載した地域医療構想は、3月までに全都道府県で策定が完了し、まさに実現へ動き出そうとしている。実現に当たっては、地域の「調整会議」の議論を踏まえ、各医療機関が「自主的な取り組み」による病床転換を進め、地域医療を構想の姿に収斂させていくことになる。
▶自主的な取り組みによる病床の機能分化・連携が進まない場合、都道府県知事が病床転換の要請・勧告等の権限を行使することになる。財政制度等審議会の建議では、知事の権限について、要請・勧告に従わない場合は民間医療機関でも病床単位での保険指定取消を可能にすべきと訴えている。与党内の最終調整段階で削除されたものの、「骨太」の素案では、基準病床制度を参考に知事の権限強化を検討すべきという趣旨の一節があった。
▶病床の機能分化・連携が改定の重要テーマとなるのは今に始まったことではないが、国の財政に関する最重要政策文書で、“地域医療構想実現改定”とでも呼ぶべき方向性が示されたことは注目される。同時改定に向けては、安易に知事の権限強化につなげず、医療機関が病床を転換しても経営の安定を保てるような報酬の設定が求められる。

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