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ロービジョン分野の進歩と今後の見通し【最先端の治療と併せてロービジョンケアを行うことが日常生活の質の向上に有用】

No.4862 (2017年07月01日発行) P.58

山上 聡 (日本大学医学部視覚科学系眼科学分野主任教授)

加藤 聡 (東京大学医学部眼科学教室准教授)

登録日: 2017-06-29

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  • ロービジョンの分野は徐々に研究者も増え,また他分野の技術も取り入れながら新しい有用な技術も報告されてきているものと思います。そこで最近の進歩と今後の見通しについて,東京大学・加藤 聡先生のご回答をお願いします。

    【質問者】

    山上 聡 日本大学医学部視覚科学系眼科学分野主任教授


    【回答】

    2014年4月の診療報酬の改定により,厚生労働大臣が定める施設基準に適合している施設で規定された医師がロービジョンケアを行うと,「ロービジョン検査判断料」という名目で保険点数(250点)が認められることになったこともあり,眼科医の間ではロービジョンケアに対する関心が高くなってきています。

    最近の話題のひとつに,視覚障害者に対する治療法である「人工網膜」と「再生医療」があります。網膜変性で失った視機能を「人工網膜」により再建する方法として,「網膜上電極板」「網膜下電極移植」「脈絡膜外移植」などのアプローチがされています。

    また,「再生医療」では,網膜色素上皮細胞(retinal pigment epithelium:RPE)が機能不全になった症例に対し,体内の異常な細胞を正常な状態にする方法(遺伝子治療),体外から正常な細胞を補充する方法(RPE移植),視細胞の機能障害をきたす網膜色素変性に対する視細胞移植などの方法が試みられています。しかし,「人工網膜」「再生医療」がどんなに成功しても得られる視力はロービジョンであり,このような最先端の研究とロービジョンケアは対になって初めて有用なものと認識する必要があります。

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