皮膚のアレルギー疾患のほとんどは,ステロイド外用薬が有効である(例外は蕁麻疹)
ステロイド外用薬は,4つのランク(strongest, very strong, strong, mild)にわけられ,部位・年齢・症状に応じて使いわける
ステロイド外用薬と保湿薬を混合すると,保険で査定される懸念は薄まっても,効果は必ずしも薄まらない
皮膚炎鎮静後の色素沈着は,ステロイド外用薬の副作用ではない
ステロイド外用薬使用に際して注意すべき落とし穴的疾患(4つの「か」)がある。すなわち,①カポジ水痘様発疹症,②疥癬,③カビ≒ケルスス禿瘡,④carcinoma in situ(日光角化症・ボーエン病・パジェット病),である
ステロイド外用薬の添付文書には,「妊婦に使用しないことが望ましい」「授乳を避けることが望ましい」と書かれているものがある
皮膚疾患の総数は2000〜3000以上とされている1)2)ので,疾患個々について網羅的に考えようというのは非現実的である。ざっくり4つのカテゴリ(アレルギー,感染症,腫瘍,外傷)にわけても,皮膚疾患の95%が把握できる3)(図1)ので,ここではそれで考えていこう。それぞれの頻度は,全国調査4)に従えば「アレルギー」53%,「感染症」25%,「腫瘍」11%,「外傷」6%であるが,より大雑把にとらえるなら1/2が「アレルギー」,1/4が「感染症」,1/8が「腫瘍」,1/16が「外傷」でもよい(これに「その他」1/16を加えると100%になる)。
ここで言う「アレルギー」の範疇であるが,実は「ステロイドが有効な疾患」を原則これに分類している(図1の各カテゴリに対する大まかな治療方針を図2に示す)。つまり,皮膚疾患のおよそ半分はステロイドが有効である。もちろんここには内服薬・注射薬による全身投与が必要な疾患も入っているが,全身投与が有効な疾患であれば,局所投与(すなわちステロイド外用薬)もある程度は有効である(蕁麻疹は例外)。よって,皮膚疾患の治療を学ぶ場合,まずステロイド外用薬の使い方をマスターすることが効率的かつ必要である。
なお,図1において外用薬が有効なほかの2つのカテゴリ「感染症」と「外傷」は,それぞれ本特集の②と③で解説する。
残り6,974文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する