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【人】杉村和朗さん「放射線医学は“小さく見つけて優しく治す”医療」

No.4691 (2014年03月22日発行) P.77

登録日: 2014-03-22

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杉村和朗さん(Sugimura Kazuro)

日本医学会2015展示委員長、神戸大放射線医学教授

1953年兵庫県生まれ。77年神戸大卒。米国UCSF留学を経て、98年神戸大教授、2007年同大病院長、14年同大学長補佐。日本医学放射線学会理事長など要職を歴任。北米放射線学会・ドイツ放射線学会・欧州放射線学会名誉会員。

「放射線医学は“小さく見つけて優しく治す”医療」

「第29回日本医学会総会2015関西」が来春、関西の2府4県の力を結集して開催される。テーマは「医学と医療の革新を目指して〜健康社会を共に生きるきずなの構築」。超高齢社会の到来を控え、国民自らが健康を守る重要性を打ち出した。この理念を最も表す一般市民向け公開展示の陣頭指揮をとるのが杉村さん。神戸を代表するホテルや食品メーカーが健康メニューを提供するフードコート、手術の雰囲気を来場者が体験できる「ブラックジャックセミナー」など、将来を担う子どもが楽しみながら医学・医療・健康を学べる体験型企画を数多く立案した。「来場をきっかけに、熱い思いを持った若者が医療の世界を目指してくれたら、より嬉しいですね」

超高齢社会では「低侵襲医療」も重要なキーワードだ。医療関連施設が集まる神戸医療産業都市の一角に昨年4月開設した、手術室を置かない「神戸低侵襲がん医療センター」(80床)の設立を主導した。センターでは、『小さく見つけて優しく治す』をコンセプトに、放射線治療や薬物療法、カテーテル治療、内視鏡治療など “切らない”治療に設備と人材を集中。こうしたスタイルの医療機関は、杉村さんが知る限りで「世界初」だという。

センターの医師11人の約半数は神戸大放射線科出身。同医局は全国の放射線科医局の中で最大規模を誇る。杉村さんが神戸大病院長を務めた間、放射線科・麻酔科・病理部の充実に力を注いだ結果だ。「病院全体の診療を向上させるためには、その土台となる放射線科・麻酔科・病理部をしっかりさせる必要があります」。その結果、大幅に経営も改善した。

「医療で最も大事なのは正確な診断」が持論。その点で、客観的に病巣を診断できる画像診断、特にMRIやPETの役割が今後ますます重要になると言う。「例えばがん医療では現在、腫瘍の有無の評価にとどまりますが、悪性度の評価まで可能になれば、より低侵襲で最良の治療法を選択できる。人生の最終章を元気に過ごすために、『小さく見つけて優しく治す』医療の代表である、放射線医学が一層の貢献をしなければいけません」


エジプトで開催された欧州泌尿生殖器放射線学会で。「歴史が好きなので、もちろんピラミッドにも行きましたよ」

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