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腫瘍内科学[特集:臨床医学の展望2014]

No.4690 (2014年03月15日発行) P.32

大津 敦 (国立がん研究センター早期・探索臨床研究センター長)

登録日: 2014-03-15

最終更新日: 2017-08-07

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がんゲノム解析技術の進歩と個別化治療

がんに対する分子標的治療薬は,既に多数の薬剤が実臨床の場に導入されている。中でもBCR-ABLやc-Kit変異に対するイマチニブを皮切りに,EGFR変異に対するゲフィチニブ,エルロチニブ,EML4-ALK融合遺伝子に対するクリゾチニブ,BRAF遺伝子変異に対するvemurafenibなどのdriver遺伝子変異とその選択的阻害薬は高い抗腫瘍効果を示し,代表的成功例として挙げられる。

一方,ゲノム解析技術は予想を超えるスピードで進歩を見せている。約30億塩基対からなるヒトゲノム解析が2003年に終了し,翌年から米国で大規模補助金による「1000ドルゲノムプロジェクト」が開始された。次世代シークエンサーなどの開発が急ピッチで進み,予定を前倒しして「1000ドルゲノム」が達成され,パーソナルゲノムの時代を間もなく迎えようとしている。国際がんゲノムコンソーシアムなどでの大規模なゲノム解析結果も徐々に報告され,がんゲノム異常の全貌が明らかにされつつある。

このような背景から,患者個々の腫瘍組織を用いて分子標的治療薬の標的となる遺伝子異常を検出し,それに応じた分子標的治療薬を選択するクリニカルシーケンスが米国先端施設を皮切りに急速に普及し,究極の個別化治療とも言えるゲノム診療体制が開始されつつある。

一方で,課題も多数残されている。ゲノム解析や分子標的治療薬のコスト,わが国でのゲノム解析の質の担保と規制ガイドラインの整備,ゲノム医療における実臨床上の有用性の証明,稀少フラクションが大半を占めるdriver遺伝子変異陽性例に対する阻害薬開発試験の進め方,遺伝相談・カウンセリング体制の整備,などの課題が山積している。また,driver遺伝子に対する選択的阻害薬であっても,持続期間は限定的で大半の症例で耐性が生じることから,その克服薬開発も必要となる。

がん治療薬開発のパラダイムシフト

がんゲノム解析の進歩は,同時に分子標的治療薬の限界も示している。固形がんの大半では同一症例で多数の遺伝子異常が認められており,分子標的治療薬の併用を行っても限界がある。複雑ながんの病態が明らかになるにつれ,様々な他のアプローチでの治療法開発が試みられている。

特に近年,大きく変貌を遂げているのが免疫療法である。CTLA-4,PD-1/PD-L1などの免疫チェックポイント分子を標的とした抗体療法について,メラノーマにおける単剤および併用の有効性とともに,免疫原性が少ないとされる非小細胞肺癌においても抗PD-1抗体の抗腫瘍効果が報告され,効果持続期間も比較的長いことから大きく注目を浴びている。進行中の第3相比較試験の結果を待たなければならないが,現在までに得られているデータでは,リガンドであるPD-L1発現陰性例では効果がみられず,免疫療法であってもその効果発現には選択性があり,かつ易感染性や自己免疫疾患的な副作用の発現もみられていることには注意を要する。

ほかに,がん幹細胞や代謝機構を標的とした治療薬の開発も開始されており,多方面からのアプローチが今後展開されるものと予想される。

最も注目されるTOPICとその臨床的意義
TOPIC 1/進化するゲノム解析技術と個別化治療
ゲノム解析技術と創薬技術の急速な進歩により,driver遺伝子異常とその選択的阻害薬による個別化治療が肺癌などで現実化しつつある。効果的な薬物療法を実施するには,病態の分子生物学的な変化の把握が今後きわめて重要となる。

この1年間の主なTOPICS
1 進化するゲノム解析技術と個別化治療
2 クリニカルシーケンスの試み
3 変貌を遂げる免疫療法
4 消化器癌薬物療法での新しい動き
5 わが国でのがん新薬開発体制をめぐる動き

TOPIC 1▶‌進化するゲノム解析技術と個別化治療

個別化治療という言葉が叫ばれて長い年月が経過しているが,がん生物学研究や分子標的創薬技術の進歩などにより,ようやく実臨床の場に近づきつつある。乳癌では,以前から個別化治療をめざした大規模なゲノム・トランスクリプトームなどの網羅的解析が行われ,luminal A, B, HER2, basal-likeの4つのサブタイプに分類され1),病理学的な近似サブタイプとともに術後薬物療法選択のために広く普及している。

さらにOncotype Dxのように,特定の遺伝子の発現状態を解析し術後の再発予測や治療薬剤選択の指標として標準化されつつある検査法の開発も進んでいる。

わが国では保険未承認で約40万円と高額な検査費用が自己負担のため普及が進んでいないが,2013年に新規薬剤や検査法の費用対効果を詳細に検討している英国NICE(National Institute for Health and Care Excellence)が,ER陽性・HER2陰性でリンパ節転移陰性乳癌での術後薬物療法選択に本検査法を推奨する判断をしたことから,今後世界的に普及する可能性がある。

これら乳癌での個別化治療をめざした取り組みはいまだサブグループ化の域であるが,最近では次世代シークエンサーなどによるゲノム解析技術と創薬技術の急速な進歩により,より明確な標的に基づいた個別化治療の取り組みが開始されている。最も進んでいるのは肺癌,特に肺腺癌での driver遺伝子とその選択的阻害薬による個別化治療である。EGFR遺伝子変異とゲフィチニブ,エルロチニブによる治療は標準化しているが,近年ALK,ROS1,RETなどの融合遺伝子が次々と発見され,さらにHER2,BRAF変異,c-Met増幅などの明確な治療標的となる対象群の存在が明らかにされ,それぞれの遺伝子異常に対応した分子標的治療薬の開発が進んでいる。

既にクリゾチニブがALK陽性例に対して単剤で61%と高い抗腫瘍効果を示し,保険適用されている2)。本剤はROS1やc-Metに対しても阻害作用を有し,第2相試験段階ではいずれも良好な抗腫瘍効果が得られている。日本を含む3カ国で発見されたRET融合遺伝子3)に対しては,その阻害作用を有するvandetanibやスニチニブ,ソラフェニブなどの臨床試験が進行中である。これらの薬剤を用いて高い効果が得られても持続期間は限定的であり,その多くは薬剤耐性を生じるが,その対応策として薬剤耐性のメカニズム解明と次の治療薬開発も進んでいる。

EGFR遺伝子変異陽性例に対するゲフィチニブ,エルロチニブ投与後に生じる耐性の主要因であるT790M遺伝子変異や,c-Metの活性化に対する治療薬の開発も進んでおり,効果的な薬物療法を実施するには病態の分子生物学的な変化の把握がきわめて重要となる。

一方で,このような個別化治療をめざした新しい分子標的治療薬の開発は多数の問題にも直面している。EGFRを除けばいずれも発現頻度は肺癌全体の1~3%程度の稀少フラクションであり,個々の診断を個別に行うのではなく,包括的に実施するマルチプレックスな診断法の開発が必須である。

◉文 献

1) Sorlie T, et al:Proc Natl Acad Sci U S A. 2003;100(14):8418-23.

2) Kwak EL, et al:N Engl J Med. 2010;363 (18):1693-703.

3) Kohno T, et al:Nat Med. 2012;18(3):375-7.

TOPIC 2▶クリニカルシーケンスの試み

創薬技術の進歩により多数の治療標的候補に対する新薬開発試験が進んでいるが,多くの標的発現は低頻度であり稀少がんや稀少フラクションが対象となる。一方,がんゲノムを中心とした各種解析データから,同一の遺伝子・分子異常の臓器横断的発現がみられ,薬剤標的となる遺伝子・分子異常に対しては臓器を超えて同一の薬剤が効果を示すのではないかとの考えも生じている。

たとえば,HER2陽性胃癌に対するトラスツズマブの有効性の証明1)は,乳癌と同様にHER2陽性例における同一の治療戦略・薬剤での有効性を示唆する。HER2は頻度は低いが,肺,食道,大腸癌などでも発現がみられる。これに対し,同一のBRAF遺伝子変異(V600E)であっても,BRAF阻害薬vemurafenibが悪性黒色腫では高い奏効率を示すのに対して2),大腸癌では単剤での奏効率は低い。その原因として,大腸癌BRAF変異例では側副経路やEGFRの活性化などの併存が示唆されており,その克服のため,ほかの活性部位を抑える分子標的治療薬を含めた2~3剤の併用試験が開始されている。

このような背景から患者個々の組織の包括的シーケンス解析を行い,その遺伝子異常に応じた薬剤選択(開発試験中の薬剤を含む)を行うクリニカルシーケンスが広まりつつある3)。発現している遺伝子変異ががんの増殖進展に必須のdriver変異かそうではないpassenger変異か,遺伝子増幅や融合遺伝子の発現が同一治療薬で同様に反応するか否かなど,今後の臨床研究の結果を見ないとわからないが,複雑ながんの病態に応じて適切な薬剤選択を行うモデルとなる可能性がある。

さらに,ゲノムに加えてエピゲノム,トランスクリプトーム,プロテオーム解析など各種解析法を加え,個々のがん細胞で発現している遺伝子異常とその表現型および修飾メカニズムを明らかにした上で薬剤選択をしようとする動きもある。究極的な個別化治療への道程であると同時に,一方で,分子標的治療薬の限界も浮き彫りにされていくことも予想され,検査コストの低減とともに無駄な高額薬剤の不使用によるコスト削減など,客観的な費用対効果の議論が今後必要と思われる。

◉文 献

1) Bang YJ, et al:Lancet. 2010;376(9742): 687-97.

2) Chapman PB, et al:N Engl J Med. 2011;364 (26):2507-16.

3) Meric-Bernstam F, et al:J Clin Oncol. 2013;31(15):1849-57.

TOPIC 3▶変貌を遂げる免疫療法

がん免疫療法は近年大きく変貌している。がん抗原の同定と抗原特異的免疫増強研究,免疫チェックポイント分子などに関する基礎研究とともに,臨床試験による有効性の実証も進みつつある。

現在最も脚光を浴びているのは,免疫抑制解除薬であろう。活性化したT細胞表面に発現し抗原提示細胞表面に発現するB7分子と結合することで,T細胞の活性化を抑制するCTLA-4(cytotoxic-T-lymphocyte-associated-antigen-4)に対する完全ヒト型抗体薬ipilimumabは,切除不能悪性黒色腫の既治療例に対するペプチドワクチンとの比較と,初回治療でのダカルバジンとの併用による上乗せ効果のいずれも比較試験で生存期間の有意な延長が既に証明されている1)。さらに,PD-1(programmed death-1)やそのリガンドであるPD-L1に対する抗体薬の開発も急速に進んでいる。PD-1はT細胞の抑制性受容体の一種であり,抗原提示を受けて活性化したT細胞が標的(腫瘍)抗原を認識する際に抑制的に作用する。PD-1に対する抗体薬nivolumabは,第1相試験で標準治療が耐性となった悪性黒色腫と腎細胞癌で顕著な腫瘍縮小効果がそれぞれ28%(26/94),27%(9/33)に認められたのに加え,免疫原性が低いとされている非小細胞肺癌でも18%(14/76)で効果が示され,また効果の持続期間も長い傾向を示していることから大きな注目を集めている。さらに,この試験でのバイオマーカー検索において42症例での腫瘍細胞側のPD-L1発現解析で,PD-L1発現が陰性であった17例では腫瘍縮小効果がみられておらず,PD-L1が重要なバイオマーカーとなる可能性が示唆されている。現在,悪性黒色腫,腎細胞癌,非小細胞肺癌でnivolumabの第3相比較試験が展開されており,今後の動向が大いに注目される2)

加えて,抗PD-L1抗体やほかの免疫チェックポイント分子,制御性T細胞を標的とした治療薬開発と,それぞれの治療薬やペプチドワクチンなどとの併用療法開発などが急速に進んでおり,新しいがん治療薬開発の主役となりつつある。

細胞免疫療法においても,新しい潮流が生まれつつある。遺伝子改変細胞療法,特にがん細胞抗原に対するキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor;CAR)遺伝子を患者から採取したTリンパ球に遺伝子導入して体内に戻すCAR-T療法は大きな注目を浴びている。米国で実施されたCD19陽性慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia;CLL)での臨床試験で,抗CD19抗体の抗原結合領域とがん特異抗原認識T細胞レセプター(T cell receptor;TCR)の細胞内シグナル伝達領域のCD3ζ鎖とのキメラ遺伝子導入を実施し,化学療法抵抗3例中2例で2年以上の無病生存が得られている3)。その後,急性リンパ性白血病(acute lymphoid leukemia;ALL)やリンパ腫などでの臨床試験でも有効性が報告されている。本治療法は特異的免疫療法で最も重要なHLA型による制限がなく汎用度が高いという利点を有するが,一方でサイトカインストームによる死亡やB細胞無形成症による免疫グロブリン低下などの重篤な副作用発現もあり,その克服も課題となる。また,わが国では三重大学において,食道癌を対象にMAGE-A4抗原ペプチドを認識するTCR遺伝子導入リンパ球による臨床試験も展開中である。

◉文 献

1) Hodi FS, et al:N Engl J Med. 2010;363(8): 711-23. 

2) Topalian SL, et al:N Engl J Med. 2012;366 (26):2443-54. 

3) Porter DL, et al:N Engl J Med. 2011;365 (8):725-33.

TOPIC 4▶消化器癌薬物療法での新しい動き

日本人のがん死亡の6割を占める消化器癌でもいくつか新しい動きが見られる。わが国において最大のインパクトは膵癌の術後補助化学療法の比較試験において,世界的な標準治療であるゲムシタビンに対しS-1が無再発生存および全生存期間のいずれにおいても有意に上回った結果が示されたことであろう1)。ゲムシタビン群の2年無再発生存29%に対してS-1群では49%(ハザード比0.56)と大きな差が見られており,膵癌全体の治療成績向上に大きく貢献する可能性がある。欧米ではS-1の人種間差から日本人投与量よりも少ない投与量であり,この結果を外挿できるかどうかは今後の試験結果を待たなければならないが,わが国ではS-1の忍容性も良好であることから,標準治療として位置づけられると予想される。

また,切除不能進行膵癌においては,長く初回標準治療であったゲムシタビン単剤に対して,FOLFIRINOX(5-FU+ロイコボリン+イリノテカン+オキサリプラチン)およびゲムシタビン+nab-paclitaxelの全生存期間での有意性が証明されている。前者では毒性の問題から適応症例は限られるが,有効薬剤の少なかった膵癌領域の薬物療法が大きく変わりつつある。一方,大腸癌では,新規薬剤として,マルチキナーゼ阻害薬のレゴラフェニブが2013年にわが国でも保険適用された。わが国で開発された新規代謝拮抗薬TAS-102も国内比較第2相試験で有意な生存期間延長が証明され2),また,胃癌における抗VEGFR2抗体薬のrumcirumabにおいても同様に二次治療での2つの比較試験で生存期間延長が証明され,いずれも2014年の承認が期待されている。

消化器癌においては,肺癌でみられるようなdriver遺伝子変異はほとんど認められておらず,個別化治療はまだ十分進んでいない。大腸癌においてはKRAS遺伝子変異陽性例で抗EGFR抗体の効果が得られないことは既に標準化していたが,シークエンス解析技術の進歩により,多数を占めるKRAS exon 2での変異だけでなくexon 3, 4およびNRAS exon 2, 3, 4変異でも効果がないことが新たに報告され3),これらのRAS遺伝子変異をすべて除外することで抗EGFR抗体薬の効果が得られる対象例の絞り込みがさらに可能となった。

また,BRAF遺伝子変異陽性例は独立した予後不良因子であるが,BRAF阻害薬単独での効果は不十分であり,他の活性化部位の阻害薬との併用療法が試みられている。

◉文 献

1) Uesaka K, et al:J Clin Oncol. 2013;31 (suppl;abstr 4008).

2) Yoshino T, et al:Lancet Oncol. 2012;13 (10):993-1001.

3) Douillard JY, et al:N Engl J Med. 2013;369 (11):1023-34.

TOPIC 5▶わが国でのがん新薬開発体制をめぐる動き

わが国の新薬開発力低下が叫ばれて久しい。がん領域でもわが国の基礎研究においてHER2,c-Kit,ALK,PD-1などの重要な標的分子を発見していながら1)~3),その後の新薬開発や臨床試験などは海外で実施され,結果として国民への利益還元の遅れが生じてきた。実用化研究の欠如がその要因であり,新規シーズの探索から化合物最適化,非臨床試験,第1相試験,proof of concept(POC)試験などの早期探索的臨床試験などに至る,いわゆる「死の谷」の克服が産官学の大きな課題として指摘されてきた。世界的に見れば,既に新薬のシーズは米国を中心としたアカデミア施設やアカデミア発ベンチャー企業にその主体が移り,大手製薬企業の自社開発品よりも多数を占める時代となっており,わが国の高い基礎研究成果を実用化する体制整備が急務である。

その整備に向け,近年様々な施策が展開されてきた。厚労省・文科省による治験推進5か年計画に続き,文科省の「橋渡し拠点整備事業」や厚労省の「早期探索臨床試験拠点整備事業」,「臨床研究中核病院整備事業」などにより新薬開発拠点の集約化と基盤整備が進められ,本格的なシーズ開発とfirst-in-human試験,医師主導治験などの早期臨床開発試験の増加が見られ,ようやくわが国のアカデミア施設においても新薬開発体制が整いつつある。

2013年からは医薬基盤研究所や理化学研究所,産業技術総合研究所を中心とした「創薬支援ネットワーク」を構築し,アカデミア開発シーズの非臨床試験の支援や企業への受け渡しなどを促進させる試みが開始された。さらに,現在官邸主導でわが国の医薬品・医療機器開発の司令塔となる「日本版NIH」構想が進んでいる。従来文科,厚労,経産各省庁縦割りで配分していた開発研究費を2015年度に新設される独立行政法人で一元化し,わが国からのオリジナル開発をめざした効率的かつ効果的な公的研究費投資が計画されている。新薬開発実用化を積極的に支援する仕組みが国家的に構築され,わが国の基礎研究成果に立脚したグローバル開発をシームレスに行える体制の整うことが期待される。

一方で,新薬や新規医療技術の導入による医療コストの上昇をどう抑制するかも大きな課題となる。超高齢化社会を迎える中で,現行の保険医療制度とどうバランスを取りながら開発を行うかは大きな問題である。先進医療制度や混合診療問題,TPP参加による特許期間・医療保険問題など,国民的議論による合意形成が必要な課題も多い。また,2013年は降圧薬バルサルタンの市販後臨床試験をめぐる利益相反や臨床試験の質の保証が社会問題化した。グローバル開発が一般化し,世界的に臨床試験の質や利益相反が厳格化されつつある状況において,わが国でも規制面での改革が避けられない。迅速な対応が望まれる。

◉文 献

1) Hirota S, et al:Science. 1998;279(5350): 577-80. 

2) Soda M, et al:Nature. 2007;448(7153): 561-6.

3) Ishida Y, et al:EMBO J. 1992;11(11): 3887-95. 

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