日本慢性期医療協会は10日の定例会見で、2018年度介護報酬改定に向けた要望を公表した。武久洋三会長は「ほとんどの慢性期病院が介護保険サービスを提供しており、同時改定では協会として制度の理不尽さや矛盾点を解消していく必要がある」と要望の方向性を説明した。
要望では介護保険サービスを取り巻く状況として、高齢化によりさまざまな合併症や重度の認知症、ADLレベルが低いなど重介護かつ重症な患者・利用者が増えていると指摘。要介護度だけではなく、重症度を加味した適切な報酬体系の構築を求めた。武久会長は「例えば低栄養や脱水で肺炎にかかってしまったことと要介護度とは直接関係がない」とした上で、患者・利用者に医療面での変化があった場合には、「訪問、通所、施設といったサービスの提供形態を越えた一元的な考え方に基づく加算で評価を行うべき」と訴えた。
このほか個別項目では、病院が主体となって行う介護保険における訪問看護の評価充実が盛り込まれた。個別項目を説明した安藤高朗副会長は、単独の訪問看護ステーションで行う場合に比べ、「情報連携や多職種協働、急変時の後方ベッド機能など病院が行う訪問看護サービスは今後重要性が増す」との考えを示し、それに応じた評価を求めた。
また廃止が決定している介護療養病床の受け皿として新たに創設される介護医療院を巡っては、類型にかかわらず多くの介護職員が従事することになるとの観点から、医療療養病床から転換した場合についても、介護療養病床同様に「介護職員処遇改善加算」の算定ができるよう求めている。