【質問者】
園生雅弘 帝京大学医学部神経内科主任教授
てんかんの診断の基本は病歴聴取です。既往歴は,原因を推定するために重要であり,発作症状は全般・部分の鑑別,さらには部分発作ではてんかん原性焦点の診断に重要です。発作を誘発する因子についての聴取も大切で,起立による誘発性,運動誘発性などは失神発作の可能性を示唆します。
てんかん発作の病歴聴取のポイントは,全般発作では強直間代発作,ミオクロニー発作,欠神発作,強直発作,脱力発作,間代発作の6種類の発作型の特徴を把握しておくこと,部分発作では大脳の機能局在を理解し,また発作症状の時間経過(起承転結)を理解しておくことです。
てんかん発作は,大脳ニューロンの過剰な興奮による症状であり,部分発作の症状は,過剰に興奮している部位の脳機能を反映します。そのため,発作初期の症状は,てんかん原性領域近傍の機能を反映し,過剰な興奮の範囲の拡延とともに発作症状も進展します。たとえば,左下前頭回より発作が起始した場合には,まずBroca野に対応して失語を生じ,次に隣接する運動野に対応して右口角の運動症状をきたし,その後に頭部が右に回旋し,右上肢さらには全身性の運動症状へと発展します。
全般性となると,はじめは強直その後に間代となり,間代の周波数が徐々にゆっくりとなり終了します。部分発作では,以上のような機能局在とその拡延に対応した症状の起承転結を念頭に置くと病歴聴取が効率的になります。
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