【質問者】
北野雅之 和歌山県立医科大学医学部内科学第二講座 教授
IgG4関連疾患は,病理組織学的にはリンパ球とIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤と線維化を特徴とし,臨床的には高IgG4血症,高IgG血症,高IgE血症などを認めるとともに,同時性あるいは異時性に全身諸臓器の腫大や結節・肥厚性病変などを認める原因不明の新規疾患です。比較的高齢者に多いですが,臓器別において頻度や性差に多少の差異がみられます。自己免疫性膵炎の平均年齢は66.5歳で,男女比は3:1で男性に多く,Mikulicz病では,平均年齢は57.8歳で,ほぼ男女同数です。
病因は不明です。病態形成におけるIgG4の意義は不明ですが,免疫遺伝学的因子,環境因子,免疫学的異常など,病変の成立には複数の因子の関与が疑われます。
罹患臓器には,中枢神経系(下垂体炎,肥厚性硬膜炎),涙腺・唾液腺(Mikulicz病,硬化性唾液腺炎,Küttner腫瘍),眼窩,甲状腺(Riedel甲状腺炎),下垂体(下垂体炎),肺,膵臓(自己免疫性膵炎),胆管(硬化性胆管炎),肝臓,消化管,腎臓,前立腺,後腹膜腔(後腹膜線維症),リンパ節,大動脈,皮膚,乳腺,血管,などがあります。多くの症例では,複数臓器に病変が及び全身疾患としての特徴を有しますが,単一臓器の場合もあり,病態生理は臓器ごとに多少異なります。
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