厚生労働省の「薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会」(渡邉治雄座長)は2日、抗菌薬使用量や耐性菌の検出状況をまとめた報告書の案を大筋で了承した。ヒト、動物、食品、環境等の耐性菌に関する複数のサーベイランスの結果を分野横断的に集約したものとしては、国内初となる。
報告書は、2016年4月に公表された「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」(用語解説)に基づき作成されたもの。同省は近く、報告書の決定版を、医療、獣医療、行政などの関係団体に周知する。報告書は今後、毎年作成し、英訳して国外にも情報発信する方針。
報告書では、日本のヒト用抗菌薬の使用状況(2013年)について、内服薬が販売量全体の9割を占めているとした上で、薬剤種類別の使用比率では狭域スペクトルのペニシリン系が低く、広域スペクトルのセファロスポリン系、マクロライド系、フルオロキノロン系が高い傾向にあることを指摘している。
分離菌における耐性率(2015年)については、世界的に増加が問題となっている大腸菌・肺炎桿菌などのカルバペネム耐性率は1%程度で推移している一方で、大腸菌における第3世代セファロスポリン系およびフルオロキノロン系の耐性率が増加傾向にあった。肺炎球菌のペニシリン非感受性率は髄液検体では40%前後、耐性黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性率も50%程度と、依然高い水準にとどまっていることが示されている。