株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

非淋菌性尿道炎の診断・治療【淋菌とC. trachomatisの有無を確認し,非淋菌性にはクラミジア性尿道炎に準ずる治療を】

No.4878 (2017年10月21日発行) P.62

安田 満 (岐阜大学医学部附属病院泌尿器科講師)

濵砂良一 (産業医科大学医学部泌尿器科学講座准教授)

登録日: 2017-10-23

最終更新日: 2017-10-17

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 非淋菌性尿道炎の原因菌として確立されているのは,Chlamydia trachomatis,Mycoplasma genitaliumおよびTrichomonas vaginalisです。このうちM. genitaliumに関しては,現在のところわが国では保険収載された検出法は存在せず,かつ世界的に薬剤耐性菌が増加し治療が困難とされています。我々が非淋菌性尿道炎に遭遇した際にはどのように診断・治療していけばよいでしょうか。産業医科大学・濵砂良一先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    安田 満 岐阜大学医学部附属病院泌尿器科講師



    【回答】

    (1)男性の尿道炎の分類と原因微生物

    男性の尿道炎は,古典的には淋菌の有無により淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎に分類されます。非淋菌性尿道炎の患者からC. trachomatisが分離・培養され,核酸増幅法による検出が一般化されました。

    C. trachomatisは,非淋菌性尿道炎患者の40~50%から検出され,C. trachomatisが分離されるクラミジア性尿道炎と,淋菌もC.trachomatisも検出されない非クラミジア性非淋菌性尿道炎(non-chlamydial non-gonococcal urethritis:NCNGU)に分類されます。数多くの微生物〔M. genitalium,T.vaginalis,herpes simplex virus(HSV),adenovirus,Ureaplasma urealyticum,Neisseria meningitidis,Haemophilus influenzaeなど〕がNCNGUの原因の候補となっています。しかし,症状のない症例や一般男性からも同じ微生物が検出されることがあり,明らかなエビデンスのある微生物は諸説あるものの,原因微生物はM. genitaliumとT.vaginalisのみと言ってよいのです。もちろん,N.meningitidisのように強い尿道炎症状を呈する微生物は存在しますが,症例が少ないのです。

    残り1,054文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top