血精液症は,射出精液に血液が混じる状態で,前立腺・精囊などの精路からの出血が原因と考えられる。臨床的に特徴となる自覚症状はなく,悪性疾患が原因となることは稀であるが,その原因は特定できないことが多い1)。
精液が血性赤色という独特の症状が主訴となる。精液の色調が暗黒色なら陳旧性の出血,鮮赤色であれば比較的新鮮な出血と考えられる。排尿時痛などの症状があれば,感染症の合併を疑う。
精液中の出血が尿路からであったり,精液に問題はないが性交後の出血という場合もあったりするので2),詳細な病歴,症状を確認することが重要である。
出血部位や原因の検索を行う。陰囊,精巣,精巣上体,前立腺を診察し,検尿(膿尿や細菌尿がある場合には尿細菌培養),尿細胞診,精液の細胞診,PSA採血などを行い,尿路生殖器の悪性所見や尿路感染の有無を確認する。
画像診断として,経直腸的超音波検査(TRUS)は,前立腺肥大症,前立腺癌,前立腺結石,前立腺囊胞,精囊囊胞,精囊出血,精囊結石などの診断に有用な低侵襲性の検査法であり1),本疾患に対する第一選択である。さらにMRIも精路の画像診断には有効で,尿道膀胱鏡は尿道~膀胱内の直接的観察に有用である。
40歳以上で症状が継続する場合には,これらの検査を必要に応じて施行していく。一方,40歳未満の若年者の場合は,検尿や低侵襲のTRUSから開始して経過観察するなど,年齢,難治性,随伴症状,患者の希望なども考慮して診療を行う。
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