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小児側弯症とその治療【成長期に発症する代表的疾患。装具療法または手術療法が有用】

No.4878 (2017年10月21日発行) P.57

出村 諭 (金沢大学整形外科講師)

土屋弘行 (金沢大学整形外科教授)

登録日: 2017-10-24

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側弯症とは,三次元的な回旋変形を伴い脊柱が側方に弯曲する疾病であり,小児の成長期に発症する代表的疾患のひとつである。側弯症の変形の程度や種類は様々であり,経過観察のみでまったく問題のない軽症例から,治療困難で生命に影響を及ぼす重篤な病態を呈するものまであり,その差は非常に大きい。小児側弯症の中では思春期の女児を中心に発症する特発性側弯症の頻度が最も高く,1~2%程度とされている。そのほか,椎骨の生下時からの奇形により弯曲が生じる先天性側弯症や,何らかの基礎疾患を背景に側弯が生じる症候性側弯症に大別される。

変形の程度はCobb角という角度を用いて評価されるが,成長完了時にCobb角40~50°を超えてしまった場合は,成人以降も悪化する可能性が高いため,いかに成長完了前に変形の程度を軽度にコントロールできるかが治療の目標となる。

側弯の治療は,歴史的に牽引,整体,マッサージ,カイロプラクティクス,電気刺激などが試みられてきたがいずれも無効であり,現在のところエビデンスのある治療法は,側弯の進行を予防する装具療法と,側弯矯正が可能となる手術療法の2つである。手術療法では,脊椎に金属製の内固定材を用いて矯正固定する手術が行われている。また,幼少期に手術治療が必要な重度の側弯症に対して,脊椎の成長を止めず,定期的な延長手術を行いながら変形をコントロールするgrowing rod手術なども行われている。

いずれにしても,側弯症の治療には早期発見と悪化の見きわめが重要で,側弯症専門医による診断と治療が望ましい。

【解説】

出村 諭*1,土屋弘行*2 *1金沢大学整形外科講師 *2同教授

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