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【コラム】ゲッケルマン療法[特集:今、話題になっていること ─皮膚科編]

No.4878 (2017年10月21日発行) P.45

山岡俊文 (大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学講座皮膚科学教室)

登録日: 2017-10-20

最終更新日: 2017-10-18

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  • 過去の乾癬治療(ゲッケルマン療法)

    ゲッケルマン療法とは,乾癬患者に対してコールタール軟膏を塗布し,紫外線を照射する治療法である。1925年にMayo clinicのGoeckermanが報告1)した。ゲッケルマン療法はステロイド外用薬を必要とせず,安全性が担保され,約1カ月で効果が発現し,長期にわたり寛解状態を維持できるとされ,乾癬治療の一翼を担った時期もあった。しかしながら,コールタールの悪臭,発がん性の問題などから,市販粗製コールタール軟膏(ソリオン®軟膏)が製造・販売中止2)となったため,最近ではまったく行われなくなった。

    1 ゲッケルマン療法の手順3)

    以下に簡単に示す。
    ①連日,軟膏ヘラを用いてコールタール軟膏を全身に塗布する。
    ②塗布した翌日に,軟膏ヘラで軽くコールタール軟膏を削り取り,残った軟膏はオリーブ油を用いて軽く除去する。
    ③続いて光源と皮膚との距離を50~70cmとし,太陽燈を全身に約1分間照射する。数日間照射し問題がなければ,以後1分ずつ照射時間を延長する。
    ④照射終了後速やかに入浴し,ハイレン石鹸を用いて鱗屑と残存するコールタール軟膏を洗い流す。
    ⑤入浴後,再びコールタール軟膏を全身に塗布する。
    上記①~⑤を毎日繰り返す。

    2 ゲッケルマン療法の注意点

    (1)コールタール軟膏について

    コールタール軟膏の濃度については,1%から開始するとの報告や0.5%,0.25%でも十分な効果が期待できるとの報告もあり一定の見解は得られていないが,長期ステロイド外用による皮膚萎縮の程度に応じて,濃度設定が必要である。

    (2)軟膏除去について

    コールタール軟膏を除去するとき,強く擦りすぎるとケブネル現象を誘発する。そのため,軽く押さえつけるようにしながら軟膏を取り除く。

    (3)紫外線照射について

    光線過敏の既往などに注意しながら,ごく少量の紫外線照射から治療を開始する。初期から大量の紫外線照射を行うと,これが誘引となりケブネル現象を生じやすくなるため,注意が必要である。

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