社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)が10月27日、2018年度介護報酬改定に向けて本格的な議論に入った。「介護事業経営実態調査」の結果を受け、提供者側が経営努力の限界を主張し、引上げを訴える一方、支払側は保険料負担の限界を主張し、引下げを支持した。
介護報酬を巡っては2015年度に2.27%のマイナス改定が実施されたが、今年4月に職員の処遇改善を目的としてプラス1.14%の臨時改定が行われた。財務省は25日、介護事業所の経営状況は中小企業と比べて「概ね良好」と評価。プラス改定は保険料の負担増につながるためマイナス改定が必要としている。
一方、厚生労働省が26日に公表した「介護事業経営実態調査」の結果によると、2016年度決算における介護サービスの加重平均収支差率(利益率)は3.3%で、3年前の前回調査(7.8%)から4.5ポイント減少。収入に占める給与費の割合は軒並み6割を超えていた(表)。この要因について厚労省は「2015年度介護報酬改定がマイナス改定だった影響と人件費の増加」と分析。介護サービスの9月の有効求人倍率は3.63倍で、全職業の1.52倍を大きく超えており、人件費を上げざるをえない状況にある。
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