水代謝が特有である子どもはhypovolemia(広義の脱水)になりやすい
hypovolemiaは,volume depletion(細胞外液量欠乏性脱水)とdehydration(細胞内外液の水欠乏性脱水)にわけて病態を理解する
volume depletionは主に低・等張性脱水になり,dehydrationは高張性脱水になる
喪失水分量を推定し,重症度や緊急度を速やかに評価する
脱水の重症度は,複数の臨床所見を総合して評価する
水代謝が特有である子どもは,予備能に乏しいため病態が容易に変化し,hypovolemia(広義の脱水)を起こしやすい(表1)。また,口渇を適切に表現できない,自分で飲水行動がとれない,体温調節能が未熟,などの特徴がある1)~3)。
体液量が減少した状態をhypovolemiaと総称しているが,volume depletion〔細胞外液量欠乏性脱水:ナトリウム(Na)欠乏性脱水〕とdehydration(細胞内外液の水欠乏性脱水:水分欠乏性脱水)の2つの病態が含まれていることを理解し,体液コンパートメントのどの部分の体液量が不足しているかを評価する(表2,図1)1)4)。
volume depletionは,主にNaが欠乏した病態である。循環血漿量が低下するため循環動態に変化が生じやすく,血圧低下などの身体所見を認める。
dehydrationは,主に水を失うことで高Na血症と細胞内液量の減少(細胞内脱水)をきたす病態である。高Na血症のため血漿浸透圧は上昇するが,循環血漿量は比較的保たれるため,循環動態の変化が少なく身体所見が表面化しづらい。通常は,尿濃縮による体液保持機能と口渇による飲水行動によりdehydrationに至ることは少ない。
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