株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

小児の在宅栄養【家庭であっても安全な方法であると同時にQOLも考慮したものでなければならない】

No.4881 (2017年11月11日発行) P.54

小松秀吾 (千葉大学小児外科)

吉田英生 (千葉大学小児外科教授)

登録日: 2017-11-10

最終更新日: 2017-11-07

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

医療の進歩に伴い,急性期の治療後も高度な医療の継続を必要とする患児が増加してきている。在宅栄養管理の導入は,患児や家族のQOL向上にとって意義は大きいが,成長の過程にある小児に安全な管理を行うには注意深い対応が要求される。また,小児に対応可能な訪問看護師の不足や,社会的支援体制,医療・教育制度の不備などが問題となっている1)。在宅静脈栄養法は短腸症候群,Hirschsprung病類縁疾患,炎症性腸疾患,吸収不良症候群などが対象となる。管理方針としては,導入前の親・本人への教育の徹底,肝障害の予防法としての経口摂取併用や間欠的投与法,カテーテル関連血流感染症の予防法として,注意深いカテーテル管理や無菌調剤・閉鎖回路の使用,エタノールロックの導入,などが肝要である。

在宅経腸栄養法の対象疾患は在宅静脈栄養法例に準じるが,重症心身障がい児も多く適応となる。2012年の診療報酬改定にて,在宅小児経管栄養法指導管理料(1050点)が新たに設定され,これに伴い成分栄養でなくても経管栄養法用栄養管セット加算(2000点),ポンプ加算(1250点)が算定可能となった。14年には2種類の新規医薬品である半消化態栄養剤(ラコール®NF配合経腸用半固形剤,エネーボTM配合経腸用液)が15年ぶりに発売された。また,近年は栄養のバランス,経腸栄養剤による下痢の問題,食事の喜びなどの面からミキサー食への関心が寄せられており,在宅経腸栄養管理の幅が広がってきている。

【文献】

1) 前田浩利:日医師会誌. 2006;135(8):1743-6.

【解説】

小松秀吾*1,吉田英生*2 *1千葉大学小児外科  *2同教授

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

関連物件情報

もっと見る

page top