高齢者における高血圧の罹患率は高く,高齢期に多発する脳・心血管系疾患の原因ともなることから,高齢者高血圧は最大の治療対象疾患である。高齢者の未治療高血圧は,これ以外にも高齢期の認知症,うつ,嚥下障害/誤嚥性肺炎,フレイルなど老年症候群の発現・進展に深く関わることが知られている。前期高齢期以前の高血圧と異なり,後期高齢期の高血圧例では収縮期高血圧,脈圧の開大,白衣性高血圧の増加,仮面高血圧の増加,早朝高血圧の増加,標的臓器障害の多発などの特徴を有し,また様々な合併症を保有し,生活機能は個々様々に低下した状態を呈することから,個別に配慮した診断・治療方針の決定が必要となる。
本特集では,後期高齢者の高血圧の治療方針につき,降圧薬の選択,降圧目標の設定,合併症のある高齢者高血圧(慢性腎臓病,心疾患,糖尿病)などのコツを伝授頂く。
1 高齢者における降圧薬の選択
鹿児島大学心臓血管・高血圧内科学教授 大石 充
2 高齢者における降圧目標の設定
金沢医科大学医学部高齢医学講座 入谷 敦
金沢医科大学医学部高齢医学講座教授 森本茂人
3 合併症のある高齢者高血圧(慢性腎臓病,心疾患,糖尿病)
横浜市立大学医学部循環器・腎臓内科学准教授 田村功一
国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院腎臓高血圧内科 金井大輔
国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院腎臓高血圧内科医長 湯藤 潤