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医学ジャーナリスト協会賞授賞式、桑島巖氏『赤い罠』に大賞「ジャーナリスト顔負けだ」

登録日: 2017-11-09

最終更新日: 2017-11-10

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第6回日本医学ジャーナリスト協会賞の授賞式が10月30日、東京・内幸町の日本記者クラブで開かれ、書籍部門の大賞に選ばれた『赤い罠 ディオバン臨床研究不正事件』(日本医事新報社)の著者・桑島巖氏(臨床研究適正評価教育機構理事長/東京都健康長寿医療センター顧問)に表彰状とトロフィーが贈呈された。

桑島 巖 著『赤い罠 ディオバン臨床研究不正事件』

医学ジャーナリスト協会賞は、質の高い医学・医療ジャーナリズムが日本に根付くことを願って2012年に創設。「オリジナリティー」「社会へのインパクト」「科学性」「表現力」を基準に協会内の審査委員会で審査し、2017年度の書籍部門の大賞に桑島氏の『赤い罠』、映像部門の大賞に公益社団法人「難病の子どもとその家族へ夢を」のドキュメンタリー映画『Give〜いま、ここ、にある しあわせ〜』、新聞・雑誌部門の大賞に南日本新聞の連載企画『精神障害とともに』を選出した。

『赤い罠』は、5大学で行われた高血圧治療薬「ディオバン」の大規模臨床研究に対し、高血圧の専門家として論文発表当初から疑義を抱き問題点を指摘し続けてきた著者が、不正発覚から厚労省調査、裁判に至るまでの過程を克明に描き、事件の真相に迫ったノンフィクション。

授賞式で審査委員長の大熊由紀子氏(元朝日新聞論説委員)は「1通のメールをきっかけにギリギリと不正を追い詰めていく過程は、推理小説のように読者を引きこむ。東京地裁の公判を欠かさず傍聴して事件の全体像を描く手法も、ジャーナリスト顔負けだ」との講評を紹介。挨拶した桑島氏は「このような立派な賞をいただき、本当にありがとうございます」と謝意を表した。

事件の背景に批判的吟味しない専門家の甘さ

授賞式後には大賞・優秀賞・特別賞受賞者による記念シンポジウムが行われ、桑島氏はディオバン臨床研究不正事件の背景について、研究者側の「功名心」「論文至上主義」、医療への貢献よりも営利を優先する企業風土、臨床研究を批判的に吟味せず、企業となれあう専門家たちの甘さがあったと指摘した。

受賞者による記念撮影(左から5人目が桑島氏)

医学ジャーナリスト協会・水巻中正会長(左)より表彰状を受け取る桑島氏

授賞式後のシンポジウムでディオバン事件の概要と背景について講演


【第6回(2017年度)日本医学ジャーナリスト協会賞 受賞作品】


書籍部門

『赤い罠 ディオバン臨床研究不正事件』(日本医事新報社)

臨床研究適正評価教育機構理事長 桑島 巖氏

映像部門

ドキュメンタリー映画『Given〜いま、ここ、にある しあわせ〜』

公益社団法人 難病の子どもとその家族へ夢を

新聞・雑誌部門

連載企画『精神障害とともに』

南日本新聞 「精神障害とともに」取材班


書籍部門

『アルビノの話をしよう』(解放出版社)

編著者 石井更幸さん

映像部門

『Cancer gift がんって、不幸ですか?』

日本テレビ報道局 がんプロジェクトチーム 鈴木美穂氏

新聞・雑誌部門

連載企画『4 割の扉 超高齢秋田を歩く』

秋田魁新報 「4 割の扉」取材班

書籍部門

『ルポ希望の人びと〜ここまできた認知症の当事者発信』(朝日新聞出版)

朝日新聞記者 生井久美子氏

   

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