もやもや病はわが国における小児脳卒中の原因として重要な疾患である。小児例の多くは過換気で誘発される一過性脳虚血発作や脳梗塞で発症する
確定診断はMRI/MRAのみでも可能である
脳虚血症状を呈する小児もやもや病に対しては頭蓋外─頭蓋内バイパス術が勧められる(グレードB)
脳虚血症状を呈する小児もやもや病に対しては抗血小板薬の投与を考慮しうる(グレードC1)
もやもや病は両側内頸動脈終末部と付近の頭蓋内主幹動脈が進行性に狭窄・閉塞し,代償性に脳底部に異常血管網の発達を認める原因不明の疾患である。発症年齢は小児と若年成人の二峰性を呈し,わが国における小児脳卒中の原因として最も留意すべき疾患の1つとして知られている1)。
小児例の多くは過換気にて誘発される一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)や脳梗塞などの脳虚血で発症する1)。涕泣時や,麺類を冷ます,吹奏楽を演奏するなどの過換気にて誘発される半身の脱力発作や失語などを呈する場合は,本疾患を疑う。小児もやもや病における脳虚血以外の発症形式としては,てんかん,頭痛,不随意運動,稀に頭蓋内出血などが挙げられる。発症年齢については,最新の全国疫学調査の結果ではピークは10~14歳とされているが2),2歳以下の幼児期は重症脳梗塞発症などが多く,予後不良であることが知られている。なお,わが国における小児・成人例を含めたもやもや病全体での家族発症例は12.1%と報告されており2),本疾患の家族歴を有する患者においては特にもやもや病を念頭に病歴聴取を行う必要がある。
もやもや病を疑う場合は,十分な水分補給を行い,過換気や脱水,貧血を回避することが重要である。1カ月に2回以上のTIAを呈する場合(TIA頻発型)は,もやもや病の診断・加療を担当する専門施設への速やかな紹介が必要である。
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