日本医師会の生命倫理懇談会(高久史麿座長)は11月28日、横倉義武会長から諮問を受けた「超高齢社会と終末期医療」について答申した。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の普及に向け、かかりつけ医の役割の重要性を強調している。
同懇談会は医療の急速な進歩により新たに生じた生命倫理に関する課題の対応策の検討を目的として1986年に設置された。
今回の答申では現状の課題として、①患者の意思決定による終末期の生き方や平穏な死を実現するための意思決定支援の仕組みの工夫と、望まない医療を防ぐための具体的な方策、②尊厳ある死(尊厳ある生)の実現─を挙げ、患者や家族、医療者の話し合いのプロセスを指すACPを繰り返し実施する必要性を指摘。国に対し、意思決定支援を推進するために、医療保険と介護保険の両方でACPへの一定の配慮など支援策を具体化することを求めた。その上で、高齢者が気楽に相談できる体制整備として、地域包括ケアシステムの中核を担うかかりつけ医の役割の重要性を強調した。
横倉会長は6日の会見で、答申を踏まえ、今後「日医かかりつけ医機能研修制度」にACPの意義などを盛り込む姿勢を見せた。