厚生労働省は15日、「医師の働き方改革に関する検討会」で、医師の長時間労働是正に向けた「緊急的な取組」の骨子案を提示した。勤務医を雇用する全ての医療機関に対し、①医師の労働時間管理の適正化、②36協定の自己点検、③既存の産業保健の仕組みの活用、④タスクシフティング(業務移管)の推進、⑤女性医師等に対する支援―を求めている。
労働時間管理の適正化に向けては、在院時間を的確に把握するため、ICカードやタイムカード等の客観的な手法による管理を求める。また、36協定を締結せずに時間外労働をさせている医療機関があることから、締結状況や時間外労働の時間数の自己点検を行い、必要に応じて見直すべきとしている。
医師の業務負担軽減については、他職種への業務移管を進める。原則として他職種が積極的に分担すべき業務には、検査手順・入院の説明、服薬指導、静脈ラインの確保、静脈注射、尿道カテーテルの留置、診断書等の入力などを挙げ、特定行為研修を修了した看護師の活用も推進すべきとした。
これらに加えて、当直明けの勤務負担の緩和や勤務間インターバル・完全休日の設定、複数主治医制の導入なども、各医療機関の状況に応じて積極的に導入するよう求めている。
「緊急的な取組」の実施に当たっては、労働基準法や労働安全衛生法など現行の法令を改正する必要がないため、厚労省は2月に開催予定の次回会合で検討会の了承を得られ次第、医療機関に周知する方針。
厚労省は同日、同検討会が2018年度末までに一定の結論を出すべき“宿題”をまとめた「中間的な論点整理」の骨子案も提示した。焦点の1つとなる応召義務のあり方については、根拠となる医師法施行時(1948年)から大きく変化した社会情勢やテクノロジー、個人ではなく組織としての対応をどう整理すべきかといった観点から検討することを提案している。