副鼻腔炎は急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎に大別される
急性鼻副鼻腔炎の2大起炎菌は肺炎球菌,インフルエンザ菌であり,抗菌薬治療の際には,起炎菌およびその薬剤感受性を考慮し,抗菌薬の選択を行う必要がある
慢性副鼻腔炎に対する薬物療法の中心となるのは14員環マクロライド系抗菌薬によるマクロライド療法である
慢性副鼻腔炎は好酸球炎症が主体の好酸球性副鼻腔炎と好中球炎症が主体の非好酸球性副鼻腔炎に分類される
好酸球性副鼻腔炎の副鼻腔粘膜組織中には多数の活性化好酸球が浸潤している
好酸球性副鼻腔炎の薬物療法にはステロイド,抗ロイコトリエン薬などが用いられる
副鼻腔炎は上顎洞,篩骨洞,蝶形骨洞,前頭洞よりなる副鼻腔における炎症であり,症状としては鼻閉,鼻漏,後鼻漏,咳嗽,頭痛,頬部痛や嗅覚障害などを呈する疾患である。副鼻腔炎の成因の中心をなすのは副鼻腔自然孔の閉鎖であるが,以前より難治性であることが多かった。また副鼻腔自然孔が閉鎖する原因としては炎症による場合が多いが,その炎症は好中球を中心とした炎症と好酸球を中心とした炎症に大別できる。
副鼻腔炎の治療法は保存的治療と手術療法に大別され,保存的治療には薬物療法,鼻処置,副鼻腔自然孔開大処置,ネブライザー療法,上顎洞穿刺,副鼻腔洗浄などが存在する。また,薬物療法として処方される薬としては,抗菌薬,消炎鎮痛薬,消炎酵素薬,気道粘液調整薬,気道粘液溶解薬,抗ヒスタミン薬,抗アレルギー薬,副腎皮質ステロイドなど様々な種類の薬が挙げられる。
以上を踏まえ,本稿では副鼻腔炎に対する薬物療法について概説する。
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