2018年度介護報酬改定の議論をしていた社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は1月26日、厚生労働省が提示した報酬単位の改定案を了承した。厚生労働省は近く改定案に関するパブリックコメントを募集し、その後公布する。
2018年度介護報酬改定率はプラス0.54%となることが昨年末に決まっている。
改定案では、団塊の世代が全員75歳以上となる2025年に向けて、国民1人1人が状態に応じた適切なサービスを受けられるよう、①地域包括ケアシステムの推進、②自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現、③多様な人材の確保と生産性の向上、④介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保─という4つの基本方針を掲げている。
医師に関わる新評価に注目すると、地域包括ケアシステムを推進するため、特養の配置医師が施設の求めに応じ、早朝・夜間または深夜に入所者を診療したことに対する評価を新設(配置医師緊急時対応加算 650単位/回〔早朝・夜間〕1300単位/回〔深夜〕)。
自立支援・重度化防止に向けては、医師や外部の通所リハ事業所等のリハビリテーション専門職が通所介護事業所等を訪問し、共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画等を作成することを新たに評価する(生活機能向上連携加算 200単位/月)。
排泄支援の評価も新設される。排泄に介護を要する利用者のうち、身体機能の向上や環境の調整等によって排泄にかかる要介護状態を軽減できると医師または適宜医師と連携した看護師が判断し、利用者もそれを希望する場合、多職種が排泄にかかる各種ガイドライン等を参考として支援を実施することについて、一定期間、高い評価を行う(排せつ支援加算100単位/月)。
改定案では2018年度に創設される介護医療院の基本報酬も示された(表)。介護医療院のサービスは、介護療養病床(療養機能強化型)相当(Ⅰ型)と介護老人保健施設相当以上(Ⅱ型)の2類型ある。
改定案によると、Ⅰ型、Ⅱ型ともに入所者の医療処置または重度者要件によって報酬区分を3分類する。報酬単位が最も高いⅠ型基本サービス費(Ⅰ)の場合、重篤な身体疾患を有する者と身体合併症を有する認知症高齢者の占める割合が50%以上などの要件を設定した。
また、介護療養型医療施設または医療療養病床から介護医療院への転換後、最初に転換した時期を起算日として、1年間に限り算定可能な「移行定着支援加算93単位/日」を創設。介護医療院を開設したことを地域住民に周知することなどを算定要件とする。この加算は2021年3月末までの期限を設ける。