近年、診療報酬の算定は複雑化している。価格が医療機関ごとにことなる選定療養の拡大や患者のコスト意識の高まりもあり、支払いを巡るトラブルは増加傾向にある。そこで今回は、すべての医療機関が無縁ではいられない支払い時のトラブル対応の良い例、悪い例について解説する。
Q:どう対応する?
①健康保険法で算定できると決められております
②医師の診察を受けることで医療機関が請求できる項目です
③医師から、入浴や食事、嗜好品のことについて話を聞きませんでしたか?日常の過ごし方など療養の説明が「指導(管理)」です
④医師の診察に含まれており、診察の都度、請求させていただいております
専門知識を有しない患者に指導(管理)の概念を理解してもらうのは難しい。必要に応じ、窓口で診療報酬点数表に基づいて該当する指導(管理)料の説明をすることが大切だが、納得する患者は少ないのが実情だ。
こうした状況に加え、医師は行政が示している水準を超える社会的・道義的な説明責任が求められている時代であることも認識し、丁寧な指導(管理)を心がけるべきだろう。
A:良い対応/悪い対応
①:×
②:×
③:○
④:△
例えば「特定疾患療養管理料」は「治療計画に基づき、服薬、運動、栄養等の療養上の指導を行った」などの要件を満たした場合、月2回算定できる。しかし実際の診察では、症状や検査結果の説明と療養上の説明が一緒に行われるため、患者にとっては診察と指導の境界は判別しにくい。
保険医である以上、少なくとも自科で算定しうる指導(管理)料の種類と算定可能な場合について正しく理解し、患者のコスト意識の高まりを踏まえ、請求額に見合う納得すべき診察と指導を行うことが求められる。