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BMIリハビリテーションの進歩【脳卒中後重度手指麻痺に治療の可能性を拓く】

No.4894 (2018年02月10日発行) P.53

川上途行 (慶應義塾大学リハビリテーション医学専任講師)

里宇明元 (慶應義塾大学リハビリテーション医学教授)

登録日: 2018-02-13

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脳機能イメージングの発展に伴い,損傷脳におけるネットワークレベルの可塑性が示され,機能障害の回復機序が明らかになりつつある。その知見に基づき,治療困難とされてきた慢性期重度運動麻痺の改善をめざす治療法が開発されている。

brain-machine interface(BMI)とは,脳と機械を連動させるシステムのことで,従来は障害者の喪失機能を代償する目的での使用が中心であったが,近年,大脳皮質体性感覚運動野から運動企図のトリガーを導出し,それに応じ筋電気刺激や電動把持装具による動作介助を行い,重度麻痺の回復を促す「機能回復型BMI」が注目されている1)。特に,重度手指麻痺に対するBMIリハビリテーション(リハ)の進歩は目覚ましく,患者に麻痺側手指で物品を摘んだ状態で手指を伸ばす(物品を離す)運動イメージを行わせ,その際の脳波変化をトリガーに電動装具で手指伸展を介助する課題特異型BMIリハが開発され,その効果が報告されている2)

さらに,上肢到達運動をBMIとロボットとの融合により再建しようとする試みや,BMIリハ機器の実用化,市場化に向けた研究開発が進められている3)

【文献】

1) 牛場潤一, 他:神経治療. 2014;31(6):699-704.

2) Nishimoto A, et al:J Rehabil Med. 2018;50(1): 52-8.

3) 里宇明元, 他, 監:神経科学の最前線とリハビリテーション. 医歯薬出版, 2015, p246-50.

【解説】

川上途行*1,里宇明元*2  *1慶應義塾大学リハビリテーション医学専任講師  *2同教授

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