保湿剤ヒルドイド等のヘパリン類似物質製剤の美容目的処方に関する問題で、日本皮膚科学会は19日、引き続き適正処方に努めるよう、学会ホームページを通じて呼び掛けた。中央社会保険医療協議会が7日に取りまとめた2018年度診療報酬改定の答申書附帯意見に「処方適正化策の検証」が記されたのを受けた対応。
ヘパリン類似物質製剤を巡っては、健康保険組合連合会(健保連)が昨年9月、美容目的での処方が増加しているとして処方制限を提言。同学会は保湿剤による治療を必要とする患者にも不利益が及ぶとして反対し、厚生労働省、日本医師会、健保連に要望書を提出した。
中医協の審議の結果、2018年度改定では、疾病の治療以外を目的とした処方は保険給付対象外であることを明確化し、審査支払機関で適切な対応がなされるよう周知することを確認。処方量・回数の一律制限は設けないことが決まった。ただし、答申書附帯意見には「医療用保湿剤の適正な処方」を「引き続き検討する」との方針が記載された。
これについて同学会は、現時点では処方実態に関する情報が十分でないため、実態把握に努めた上で処方適正化策を検討することが前提となっていると指摘。適正化に向けた取り組みが「2年後の次期改定時の審議において検証される」との見方を示し、皮膚科医に向けて公的医療保険制度に則った適正処方を求めた。