学校心臓検診(1次検診)で発見される不整脈で頻度が高いのは,頻脈性不整脈では期外収縮,徐脈性不整脈では洞性徐脈と房室ブロックである
2次検診以降では12誘導心電図,運動負荷心電図,ホルター心電図,心エコー等を行い,運動制限が必要な例を見きわめるとともに,ハイリスク例については専門医療機関へ紹介する
頻脈性不整脈で見逃してはいけない所見は,運動誘発性,P波・QRS波の多形性,上室・心室頻拍,失神などの症状,突然死や致死的不整脈の家族歴である
徐脈性不整脈で見逃してはいけない所見は,高度の洞性徐脈,運動による房室ブロックの悪化,失神などの症状,突然死や致死的不整脈の家族歴である。遺伝性不整脈の知見が増えるにつれて,その診断における洞性徐脈の重要性が指摘されている
先天性QT延長症候群(LQTS)は心電図で診断できる重要な遺伝性不整脈であり,適切な診断と生活管理,必要に応じたβ遮断薬投与により,致死的イベントを予防できることが多い
安静時心電図が正常であっても,運動時,精神的緊張時に失神する児童学童の中に,カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)という重症な遺伝性不整脈がある
学校心臓検診(1次検診)では小学校,中学校,高校の各1年生全員(地域によっては小学校4年も含まれる)を対象として心臓検診調査票,心電図記録が行われ,2次検診対象者が抽出される。学校医の診察や心音図検査が含まれる地域もある。不整脈の診断には心電図が最も有力な手段であるが,症状(失神,動悸,胸痛)や突然死・不整脈の家族歴調査も重要である。
2次以降の検診では,専門医による診察,標準12誘導心電図,胸部X線,心エコー,運動負荷心電図,ホルター心電図などが行われる。運動負荷心電図は心拍数≧150/分を目標に十分な負荷をかけることが重要である。
以下,学校心臓検診で発見される代表的な不整脈を中心に,見逃してはいけないポイントと管理について概説する。