厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドラインの見直し検討会」(座長=大曲貴夫国立国際医療研究センター病院副院長)は14日、保育所で対応が求められる感染症について、最新知見を反映したガイドライン見直し案を大筋で了承した。改訂は2012年以来6年ぶり。同省は4月から適用する方針。嘱託医、かかりつけ医にも関連の深いポイントを紹介する。
新ガイドラインでは、保育所と保健所等の連携に関する記載を増やし、保育士に向けて感染経路別対策の解説も拡充。2012年以降に定期接種化されたワクチンの情報も追加し、入園時の接種履歴の確認を求めている。
感染症対策における嘱託医の役割については「保育所の子どもだけでなく地域全体の子どもの健康と安全を視野に入れた対策を講じることが求められる」と明記。嘱託医が小児医療を専門としない場合は、地域の小児科医に助言を求めるなどの体制の整備が望まれるとした。
ガイドラインでは、登園再開に当たり、医師が作成する「意見書」と保護者が作成する「登園届」の参考様式を提示している。ただし厚労省は「一律に必要とするものではなく、保育所と医療機関、地区医師会などが協議して地域ごとに決めてほしい」としている。
ガイドラインでは、特に注意すべき感染症26疾患のうち21疾患で、医師が意見書で登園許可を出す際の目安(表)を提示。現行から大きな変更はないが、留意事項には、最新知見を反映した追記部分も多い。
インフルエンザにおける登園許可の目安は、現行通り「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過していること」としている。
腸管出血性大腸菌感染症の無症状の病原体保有者については、トイレでの排便習慣を身に付けた5歳以上では「登園を控える必要はない」とし、5歳未満では2回以上連続で便から菌が検出されず全身状態が良ければ登園可能とする。ノロウイルス感染症では、嘔吐や下痢が治まり普段の食事がとれれば登園可能とする。
風疹については、妊婦感染による先天性風疹症候群を防ぐ観点から、保育所で発生した場合は送迎時等の対応を保育所・保健所・嘱託医で検討するよう求め、抗体のない妊娠中の職員の勤務にも配慮すべきとした。
このほか、適切な対応が求められる感染症には、①アタマジラミ症、②疥癬、③伝染性軟属腫(水いぼ)、④伝染性膿痂疹(とびひ)、⑤B型肝炎―の5疾患を挙げた。集団発生が相次いでいる疥癬の感染拡大防止策としては、手洗いの励行などを示し、治療開始後はプールに入っても構わないとした。2016年10月に定期接種化されたB型肝炎ワクチンについては、未接種の子どもだけでなく職員にも任意接種を勧めている。