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(3)新しく登場した画像診断モダリティ─②乳房専用PET

No.4901 (2018年03月31日発行) P.33

角舎学行 (広島大学病院乳腺外科講師)

登録日: 2018-03-30

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乳房専用PETは全身PET CTと比較して解像度がはるかに高く,乳房内の観察に優れている

術前検査としての乳房専用PETにより,同時多発乳癌,対側乳癌などの第2癌を発見することができる

乳房専用PETはSUVmaxを用いた乳癌の悪性度,予後予測診断をより正確に行うことができる

1. 乳房専用PETについて

18Fで標識したfluoro-deoxyglucose(FDG)はブドウ糖と似た構造であり,体内に注射ししばらくしてから撮影すると,糖代謝の亢進した部位にFDGが集積する像が描出される。FDG-PET検査は,癌細胞が正常細胞に比べて3~8倍のブドウ糖を取り込むという性質を利用した画像診断モダリティであり,がんの術前診断で全身をスクリーニングするには非常に有用な検査である。

広島大学病院乳腺外科では,2006年から乳癌症例に対して,まず全身FDG-PET CTの撮影を開始した。

その結果,全身FDG-PET CTにおけるFDGの集積の程度(SUVmax)が,乳癌の転移を診断するために有用であるだけでなく,エストロゲンレセプター,腫瘍径,リンパ節転移などと同じように乳癌の再発,予後を予測する因子であることを明らかにした1)2)。さらに,2015年から乳房専用PETでの撮影も開始し,現在,約500例以上の乳癌データを集積している。

乳房専用PETは,全身PET CTと比較して解像度がはるかに高く,乳房内の観察に優れていることからその有用性が期待されているが,乳房専用PETが撮影できる施設はまだ少なく,詳細なデータは十分明らかになってはいない。

本稿では,当科で撮影した乳癌約250例の乳房専用PETの初期データをもとに,乳房専用PETの有用性について述べる。

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