観光庁は29日、訪日外国人旅行者の医療に関する実態調査の結果を公表した。旅行中の傷病医療費をカバーする旅行保険の加入率は全体の7割で、うち半数は通訳等の追加サービスが付いていないタイプだった。
調査は昨年12月から今年1月にかけて、成田、羽田、関西の3空港で、帰国直前の訪日外国人旅行者を対象にアンケートを実施。回収回答数は3383件で、地域別では東アジアが2511件、東南アジアが463件、欧米豪が328件、その他が81件となっている。
調査によると、全体の73%は旅行保険に加入しており、うち約7割は旅行代理店等で購入したもの、約2割はクレジットカード等に付帯しているものだった。保険未加入の割合は、東アジア(27%)、東南アジア(23%)に対し、欧米豪が35%と比較的高かった。
保険加入者のうち、付帯サービスが「ない」との回答は全体の49%を占めた。付帯サービスで最も多かったのは、医療機関での支払いや帰国後の保険金請求手続きの必要がない「キャッシュレス診療サービス」(34%)で、受診予約代行サービスは16%、電話等による医療機関紹介サービスは13%、三者通話による通訳サービスは9%にとどまっていた。
訪日旅行中に怪我や病気で医療機関を受診する必要性を感じたという回答は192件。そのうち11%は実際に受診した一方で、15%は行く必要性を感じながら受診しなかったという。未受診の主な理由としては、「日本の医療機関について必要な情報が得られなかった」「初めから行くのを諦めていた」などが挙がっている。