診療報酬調査専門組織の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(分科会長=荒井耕 一橋大院商学研究科教授)が30日、2年ぶりに開催された。来年10月に予定される消費税率引上げに備え、医療機関の控除対象外消費税の負担増に診療報酬上で対応する場合の検討を開始。具体的な補塡方法は夏以降の議論次第となるものの、医薬品と特定保険医療材料の市場実勢価格の調査を今年中に行う方針が了承された。
厚生労働省は、消費税率10%への引上げに向け、薬価・特定保険医療材料価格調査を2018年中に実施する考えを明示。一方で、医療機関の課税経費率については、過去の調査で年度ごとの変動が少なかったことから、新たな調査は行わず、直近(17年)の「医療経済実態調査」のデータを用いるとした。設備投資については、年度ごとの変動が大きく、投資の大半が個別の診療行為との対応関係が明確でないことから、調査の必要性は現時点では低いとの認識を示した。
与党の2018年度税制改正大綱では、医療の消費税問題について、19年度税制改正の際に税制上の抜本解決に向けて結論を得るとしている。厚労省は与党の検討状況も考慮しつつ、秋以降に診療報酬上での対応の検討を本格化させ、今年末までに結論を得る方針。具体的な財源配分・点数設定等の議論は、年末の予算編成の結果を踏まえ、来年1月以降に始める。
今後の方向性に対し、診療側、支払側ともに異論は出なかった。なお、消費増税対応改定を実施する場合の時期について、厚労省担当官は次回以降に論点とする考えを示し、現時点では「白紙」であるとしている。