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(2)非AIDS指標悪性腫瘍(NADM/NADC)[特集:HIV感染症の長期管理に伴う慢性疾患─新たな課題]

No.4904 (2018年04月21日発行) P.34

今村顕史 (がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長)

田中 勝 (がん・感染症センター都立駒込病院感染症科)

登録日: 2018-04-20

最終更新日: 2018-04-17

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HIV感染症に合併する悪性腫瘍は,AIDS指標悪性腫瘍(ADM/ADC)と非AIDS指標悪性腫瘍(NADM/NADC)にわけることができる

抗HIV薬による劇的な予後改善の一方で,NADMの発生が増加している

化学療法を行う場合には,多剤併用療法(ART)の早期開始も必要となる

HIV感染者においても,悪性腫瘍の予防や早期診断が重要な課題となっている

1. HIV感染症とAIDS指標悪性腫瘍(ADM)

HIV感染によって免疫機能が低下すると,やがて重篤な日和見感染症や悪性腫瘍を発症するようになる。AIDS発症の診断基準として,わが国では様々な日和見感染症や悪性腫瘍が「AIDS指標疾患」に指定されており,これらの疾患を発症した時点で「AIDS」と診断することになっている。

AIDS指標疾患に含まれている悪性腫瘍には,カポジ肉腫,非ホジキンリンパ腫,原発性脳リンパ腫,浸潤性子宮頸癌がある。カポジ肉腫はヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8),非ホジキンリンパ腫と原発性脳リンパ腫はEBウイルス(EBV),浸潤性子宮頸癌はヒトパピローマウイルス(HPV)と,いずれもウイルス関連の悪性腫瘍である。したがって,これらの悪性腫瘍は,免疫不全と関連する重要なAIDS指標疾患と位置づけられてきた。現在,このようなAIDS指標疾患となっている悪性腫瘍は,「AIDS指標悪性腫瘍(AIDS-defining malignancies:ADM/AIDS-defining cancers:ADC)」と呼ばれるようになっている。

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