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CAOSツールを用いた人工股関節全置換術【支援ツールにより,再現性が高く,きわめて正確な手術が可能に】

No.4908 (2018年05月19日発行) P.53

楫野良知 (金沢大学整形外科特任准教授)

加畑多文 (金沢大学整形外科准教授)

土屋弘行 (金沢大学整形外科教授)

登録日: 2018-05-21

CAOSとは,computer assisted orthopaedic surgery(コンピュータ支援整形外科手術)の略である。20世紀に最も成功した外科手術のひとつと言われる人工股関節全置換術は,変形により傷んだ関節を金属やセラミックでできたインプラントに置換する手術である。優れた除痛効果があり,可動域や脚長差の改善により患者のQOLに与える効果は非常に大きく,わが国では年間約6万件が施行されている。一方で,術後の脱臼や長期的なインプラントの弛みといった合併症も存在し,これらにはインプラントの正確な設置が影響する。

正確な手術の実施は,以前は外科医の経験や勘(もちろん,これらも重要であるが)だけが頼りであったが,現在では手術を支援する各種のツールが利用可能になっている。術前にX線だけでなくCTを利用し,患者ごとの骨格や変形の程度を3次元的に詳細に検討し,手術の計画を立てるためのテンプレーティングソフトウェア,術中にリアルタイムにインプラントの設置位置と角度を確認するための手術用ナビゲーションシステム,といった支援ツールにより,経験の少ない医師でも再現性の高い手術を行うことができ,手術前の計画と比較してわずか2°,2mmといった誤差での正確な手術を実施することが可能になっている。

導入コストがかかるため,これらのツールを用いて手術を実施している施設はまだまだ少ないが,今後,これらが当たり前になる時代が到来するかもしれない。

【解説】

楫野良知*1,加畑多文*2,土屋弘行*3  *1金沢大学整形外科特任准教授 *2同准教授  *3同教授

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