□好酸球性膿疱性毛包炎(eosinophilic pustular folliculitis:EPF)は,そう痒を伴う毛包一致性の無菌性好酸球性膿疱が,顔面・体幹・上肢に好発する疾患である(図)。太藤重夫博士の提唱により疾患概念が確立した。
□古典型,HIV関連型,および小児型の3型に分類される。
□尋常性挫瘡やアトピー性皮膚炎と誤診されやすい。通常の挫瘡治療で完治に至ることはほとんどなく,しばしばステロイド外用に抵抗する。
□したがって治療抵抗性の挫瘡様発疹,アトピー性皮膚炎様発疹,湿疹様発疹に遭遇した場合,一度は本疾患を疑うことが重要である。
□インドメタシンの内服が奏効する。
□壮年期の男女に好発する。
□顔面・体幹・上肢などに遠心性に拡大する紅斑を認め,膿疱が辺縁に環状に配列して局面を形成し,中心治癒傾向を示しつつ色素沈着を残す。掌蹠に生じることもある。患者の75%がそう痒を訴える。
□顔面,頭頸部,体幹に孤立性の丘疹・膿疱を生じ,浮腫性に隆起した,時に蕁麻疹様の紅斑局面を形成する。そう痒が強い。
□AIDSをはじめとする血液疾患,悪性腫瘍,骨髄移植に伴う。
□免疫抑制でも類似の症状を発症する。
□頭皮に孤立散在性の膿疱を生じる。
□付属器周囲真皮への好酸球浸潤を認めるが,毛包漏斗部には認めない。
□稀であり,本疾患に含まれるかどうか意見が分かれる。
□皮膚生検が有用である。病理組織学的に,毛包上部および脂腺とそれら周辺に好中球を混じる好酸球主体の稠密な細胞浸潤を認める。
□非典型例では好酸球の毛包漏斗部への浸潤を確認しがたい例もある。
□末梢血の好酸球増多を認めることもある。
□抗HIV抗体価でHIV感染を除外する。
1190疾患を網羅した最新版
1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中
PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
➡コチラより