Q
10歳代,男児。両側の後頸部から鎖骨上窩,腋窩部,鼠径部を中心に全身がやや濃い色調で,皮丘・皮溝が明瞭な皮野を呈している(図1)。姉も同様の症状に罹患しているが,両親にはこの症状がない。薬剤は内服しておらず,ほかに症状は認めない。本症例の診断として最も考えられるものはどれか。
①黒色表皮腫・遺伝型
②黒色表皮腫・症候群型
③黒色表皮腫・肥満関連型
④黒色表皮腫・腫瘍随伴型
⑤黒色表皮腫・薬剤型
⑥黒色表皮腫・混合型
黒色表皮腫(acanthosis nigricans)は後頸部から鎖骨上窩などの間擦部に生じ,疾病負荷が生じやすい。良性型,仮性型,悪性型に分類され,遺伝的素因や糖尿病,機械的因子の付加,内臓悪性腫瘍との関連が示唆されてきた。近年,様々な発症因子が明らかとなり,病因別に分類される。経過観察とされる傾向にあったが,近年はシロリムス外用(承認外)などが検討できる。
症状として,間擦部(後頸部から鎖骨上窩,腋窩部,鼠径部)などに黒褐色色素沈着が生じる。病理組織学的に乳頭腫症,角質増殖,色素沈着を示す。時に全身の皮膚や粘膜に生じうる。通常は両側性である。