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疥癬の新常識:疥癬は肉眼で見える[〈プライマリ・ケア医が知っておくべき〉クイズで学ぶ 皮膚科診療の“新常識”(6)]

No.5257 (2025年01月25日発行) P.10

岩見真衣 (赤穂市民病院皮膚科)

和田康夫 (赤穂市民病院皮膚科部長)

登録日: 2025-01-23

最終更新日: 2025-01-22

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Q


14歳,男児。6カ月前から,手足,体幹に痒みを伴う発疹が出現した(図1)。妹にも手足に痒みを伴う皮疹がある。近医でベリーストロングクラスのステロイド外用薬を処方されたが,治りが悪いため,当院へ紹介受診となった。
本患者における診断は以下のうちどれか。

手湿疹
手足口病
疥癬
掌蹠膿疱症

疥癬の概要

疥癬は,ヒゼンダニが皮膚に寄生して生じる伝染性皮膚疾患である。感染すると,体幹,四肢に丘疹,搔破痕が生じる。痒みは激しく,夜間の安眠が妨げられ,日中も痒みで学業や仕事が手につかないケースも多い。湿疹と誤診されステロイド外用薬治療を受けることもあるが,それでは疥癬は治らないばかりか,家族などに感染が広がっていく。

上記のように,疥癬は感染性の疾患であり,患者のQOLを損なう恐れもあることから,早期診断が大切である。原因となるヒゼンダニの大きさは1mmに満たず微細である。診断には,従来,顕微鏡検査が必要と考えられてきたが,見慣れると,肉眼で疥癬とおおよそわかる。疥癬を疑うのは,①猛烈な痒み,②ステロイド外用薬の効かない湿疹病変,③家族内発症があるときである。このような場合,疥癬を念頭に置いて手足,男性陰部などを精査し,ヒゼンダニが見つかれば,疥癬と診断が確定する。診断さえつけば,治療は容易である。イベルメクチン内服やフェノトリンローション外用によって虫体は死滅し,疥癬は治癒する。

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