Q
14歳,男児。6カ月前から,手足,体幹に痒みを伴う発疹が出現した(図1)。妹にも手足に痒みを伴う皮疹がある。近医でベリーストロングクラスのステロイド外用薬を処方されたが,治りが悪いため,当院へ紹介受診となった。
本患者における診断は以下のうちどれか。
①手湿疹
②手足口病
③疥癬
④掌蹠膿疱症
疥癬は,ヒゼンダニが皮膚に寄生して生じる伝染性皮膚疾患である。感染すると,体幹,四肢に丘疹,搔破痕が生じる。痒みは激しく,夜間の安眠が妨げられ,日中も痒みで学業や仕事が手につかないケースも多い。湿疹と誤診されステロイド外用薬治療を受けることもあるが,それでは疥癬は治らないばかりか,家族などに感染が広がっていく。
上記のように,疥癬は感染性の疾患であり,患者のQOLを損なう恐れもあることから,早期診断が大切である。原因となるヒゼンダニの大きさは1mmに満たず微細である。診断には,従来,顕微鏡検査が必要と考えられてきたが,見慣れると,肉眼で疥癬とおおよそわかる。疥癬を疑うのは,①猛烈な痒み,②ステロイド外用薬の効かない湿疹病変,③家族内発症があるときである。このような場合,疥癬を念頭に置いて手足,男性陰部などを精査し,ヒゼンダニが見つかれば,疥癬と診断が確定する。診断さえつけば,治療は容易である。イベルメクチン内服やフェノトリンローション外用によって虫体は死滅し,疥癬は治癒する。