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丹毒,蜂窩織炎[私の治療]

No.5253 (2024年12月28日発行) P.47

中野尚美 (自治医科大学皮膚科学教室)

小宮根真弓 (自治医科大学皮膚科学教室教授)

登録日: 2024-12-28

最終更新日: 2024-12-24

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  • 真皮から皮下組織に生じる細菌感染による急性化膿性炎症を蜂窩織炎・丹毒と呼称するが,その中でも真皮に限局する感染性皮膚疾患を丹毒と言う。
    丹毒は顔面に好発し,境界明瞭な浮腫性紅斑が生じる。発熱が皮疹に先行することもある。皮膚表面は緊張し光沢があり,熱感と圧痛が強く,時に紅斑上に水疱を形成することがある。皮疹は遠心性に拡大していく。悪心・嘔吐などの症状を伴うこともある。同一部位に症状を繰り返す場合は習慣性丹毒と呼ぶ。原因菌はA群β溶血性連鎖球菌(GAS)が最多で,その他の溶血性連鎖球菌も原因になる。10%程度が黄色ブドウ球菌やグラム陰性菌に起因する。
    蜂窩織炎は,顔面や四肢(特に下肢)に好発し,境界不明瞭な紅斑,腫脹,熱感を認める。急速に拡大して圧痛や自発痛を伴う。蜂窩織炎の病変は丹毒より深在性のため,紅斑の境界が不明瞭となる。水疱や膿瘍を形成することもある。発熱や悪寒,関節痛などの全身症状を伴うこともある。時に壊死性軟部組織感染症や敗血症へ進展する。原因菌は黄色ブドウ球菌が50%,GASが25%と言われる。

    ▶診断のポイント

    発熱を伴い,発赤,腫脹,熱感を伴う紅斑が急激に出現した際は蜂窩織炎・丹毒を疑う。発熱は時に悪寒・戦慄を伴い,皮疹と同時あるいは皮疹にやや先行して急激に発症する。特に顔面に境界明瞭な紅斑がみられた場合は丹毒を疑い,四肢などに境界不明瞭な紅斑がみられた場合は蜂窩織炎を疑うが,実際の臨床では丹毒と蜂窩織炎を区別することは難しい場合が多い。米国のガイドラインでは丹毒・蜂窩織炎はあえて区別する必要がないとされ,一方で,癤,廱,皮下膿瘍の有無が重要視されている。本稿では癤,廱,皮下膿瘍のない蜂窩織炎について述べる。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    軽症~中等症の初期治療には,連鎖球菌あるいはメチシリン感受性黄色ブドウ球菌を念頭に置き抗菌薬を投与する。CRP高値(10mg/dL以上)の場合は入院加療も検討する。

    重症の場合は壊死性軟部組織感染症の可能性を検討し,必要に応じて早期手術等も検討する。

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