□口腔カンジダはカンジダ症の中でも,皮膚カンジダの間擦疹,指間びらん症についで多い疾患である。カンジダについては皮膚カンジダの項に詳しく記載したので,そちらを参考にされてから読まれることをお勧めする(「§14-52」参照)。
□臨床的には急性偽膜性カンジダ症,慢性肥厚性カンジダ症,萎縮性カンジダ症,慢性粘膜皮膚カンジダ症に分類される。
□症状としては疼痛,味覚異常(酸味や苦味など)や粘膜違和感(ざらざら,ぬるぬるなど)を訴えることが多い。
□急性偽膜性カンジダ症が最も多くみられ,舌や頬粘膜に剥がれやすい白苔を付着し,剥がすとその下は発赤している(図)。健康な乳幼児でもみられることもあり,寝たきり患者や高齢者では本人が自覚していない場合もあるが,糖尿病や抗がん剤,副腎皮質ホルモンの使用時に発症しやすい。
□病変が広範囲な場合にはAIDSを疑う必要があり,本症に続発する食道カンジダ症はAIDS診断のための指標疾患となっている。
□慢性肥厚性カンジダ症は白色の肥厚性病変が多いが,時に肉芽腫様の臨床像を呈することもあり,好発部位は口角に近い頬粘膜ならびに舌である。
□慢性萎縮性(紅斑)カンジダ症は粘膜の萎縮を伴う紅斑性病変で,義歯装着者に多くみられることから義歯性カンジダ症とも呼ばれる。
□慢性粘膜皮膚カンジダ症はカンジダ特異的な細胞性免疫不全を有する患者に生じ,内分泌異常を伴うことが多い。
□口腔カンジダの診断においても最も重要な検査は直接鏡検であり,培養陽性のみでは粘膜の常在菌であるため診断の根拠にはならず,菌糸形の発育形態を証明することが必要である。多数の胞子集団と少数の仮性菌糸が認められる。
□慢性肥厚性カンジダ症,萎縮性カンジダ症では直接鏡検を行うのに検体採取が困難な例もあり,培養検査を加味しつつ,口腔外科領域などでは臨床症状などから総合的に判断されていることも多いようである。
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