陥入爪とは,爪甲側縁が爪郭を損傷した状態である。放置すると爪郭の発赤や腫脹,びらんが生じ,しばしば易出血性の肉芽を形成し,強い疼痛を伴う。母趾の側爪郭に生じることが多い。一方,巻き爪は爪の形状を指す。本来,爪甲は遠位から見ると緩やかなカーブを描いているが,巻き爪ではそのカーブが過剰になり,遠位から見ると巻いているように見える。爪甲側縁が側爪郭に食い込んで疼痛を伴うこともあるが,巻き爪の程度と自覚症状の有無は必ずしも一致しない。
陥入爪の主な原因は,誤った爪切り,外傷,合わない靴,肥満などが挙げられる。特に深爪など誤った爪切りでは爪甲側縁がうまく切れずに爪棘が生じることがある。その爪棘が爪郭を傷つけることで陥入爪は生じるため,爪棘がないかよく観察することが肝要である。
一方,巻き爪は視診で診断することができる。陥入爪と巻き爪はよく混同されるが,本来は異なる疾患である。しかし,一般的に巻き爪患者にとって爪切りは非常に難しく,特に母趾の爪甲側縁部の爪切りに失敗することで,爪棘を生じ,陥入爪を合併することがしばしばある。
よって,陥入爪の患者を診た際には発症直前に爪切りをしたか確認するなど,原因に併せて対応することが望ましい。
陥入爪は原因を除去することが最も肝要である。
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