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有棘細胞癌

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-20
加藤潤史 (札幌医科大学医学部皮膚科学講座)
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  • ■疾患メモ

    人口10万人に対しての年間の発生は2.5人と推測される。

    2008年の調査では前駆病変として日光角化症が最も多く,ついでボーエン病,熱傷瘢痕が続く。

    有棘細胞癌は表皮の角化細胞が悪性化した腫瘍で,皮膚悪性腫瘍では基底細胞癌についで発生率が高い。

    好発年齢は70歳以上の高齢者で,好発部位は日光露出部が多い。

    2008年の安齋らの報告1)では,顔面が最多で59.0%,ついで下肢が14.0%,上肢が12.4%の順であった。

    NCCNのガイドライン2)によると,転移は3.7%と報告されている。

    転移は最初に所属リンパ節に起こることが多い。リンパ節に転移を生じず,遠隔転移をきたすことは非常に稀である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    紅色調の局面,結節,腫瘤を形成することが多い。潰瘍を伴うこともめずらしくない。

    腫瘤は乳頭状やカリフラワー状を呈する。進行すると独特のケラチン臭を伴うことがある。

    【検査所見】

    診断確定のためには生検を施行し,病理組織学的に診断することが必須となる。

    病理組織所見から分化度,組織病型,腫瘍浸潤の深さ,神経脈管浸潤の有無を確認することは治療方針を決めるためにも重要となる。

    病変周囲の表皮に表皮内病変(たとえば日光角化症)の有無を確認し,発生母地を検討する。

    術前に,腫瘍マーカーとしてSCC関連抗原を測定する。

    高リスク症例では,超音波検査などの画像検査にて所属リンパ節の腫大の有無を評価する。

    ■治療上の一般的注意&禁忌

    【注意】

    鑑別疾患として,血管拡張性肉芽腫,付属器腫瘍,無色素性黒色腫などが挙げられる。

    瘢痕癌の場合は潰瘍を形成することが多く,難治性潰瘍として見過ごされることがある。

    熱傷瘢痕,慢性膿皮症などが前駆病変として生じる瘢痕癌の場合,大きな腫瘍を形成することがある。腫瘍が巨大の場合,PTHrPを産生することがあり,高Ca血症に注意が必要なときがある。

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