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血管肉腫

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
上原治朗 (旭川医科大学皮膚科学講座)
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  • ■疾患メモ

    血管肉腫は,血管・リンパ管から生じる悪性軟部腫瘍の総称である脈管肉腫(angiosarcoma)とほぼ同義で,日常臨床において頻用される呼称である。

    皮膚科領域では高齢者の頭頸部に発生する頭部血管肉腫(angiosarcoma of the scalp and face),慢性リンパ浮腫に伴い生じるStewart-Treves症候群,放射線治療後に生じる臨床型が存在する。

    年間罹患数は80~160人前後と見込まれ,非常に稀な疾患であるが,日本の高齢化率は2016年現在で25.1%であり,高齢化に多い本疾患は症例数の増加が予想される。

    疾患全体の5年生存率は約10%,平均生存期間は19.5カ月といわれており,非常に予後が不良である。再発を繰り返す症例では局所制御にも難渋し,患者のQOLを著しく低下させる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    皮下出血斑様の紫斑と,暗赤色から紫色の易出血性腫瘤がみられる。

    高齢者の頭頸部型では,頭部の外傷の既往を有することが多い。

    【検査所見】

    腫瘤部からの皮膚生検にて,腫大した多数の赤血球の血管外漏出像と異型血管内皮細胞の増殖がみられる。

    免疫染色にて異型細胞は血管内皮マーカーであるCD31,CD34,第Ⅷ因子抗原,VEGFなどに陽性である。リンパ管内皮のマーカーであるD2-40なども陽性になることがある。

    病初期から転移をきたすことが多いため,CT,PETなどによる全身転移の有無を確認する必要がある。

    肺・胸膜には嚢胞性・気腫性の転移病巣を形成することがあるため,経過観察上注意が必要である。

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