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月経前症候群(PMS)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-09-22
岩佐弘一 (京都府立医科大学大学院医学研究科女性生涯医科学講師)
北脇 城 (京都府立医科大学大学院医学研究科女性生涯医科学教授)
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  • ■疾患メモ

    月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)は身体症状,精神症状を問わず,月経前の黄体期に何らかの症状をきたし,それが月経とともに消失するものを指す。

    月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder:PMDD)はその重症型とも言われるが,精神症状が主体である。現在では米国精神医学会による精神疾患診断基準であるDSM-5にも抑うつ障害群の1項目として記載され,うつ病の1亜型と考えられている。

    PMS,PMDD,いずれも現時点で原因は不明である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    PMSの頻度は全女性の50~80%との報告があり,症状も150以上と言われる。治療が必要となる症例は3~7%程度である。代表的な症状は以下の通りである。

    心因・行動に関する症候:気分変動と落ち込み,涙もろく悲観的,疲れやすく無気力,緊張または不安,イライラ・取り乱す/感情抑制の困難,集中困難,性的嗜好の変化,睡眠の障害(傾眠含む),異常食欲,攻撃性,自制心の欠如。

    身体症候:乳房緊満,浮腫・むくみ感,全身性の疼痛(特に腰痛),腹部膨満,腹痛,頭痛,体重増加,四肢の腫脹,にきび・肌荒れ,便秘・下痢,筋肉痛・関節痛,てんかん,片頭痛,喘息,鼻炎,蕁麻疹。

    【検査所見】

    今回および次の2周期の3カ月にわたる症状の前方視的記録。

    MDQ(menstrual distress questionnaire:月経随伴症状に対する質問表47項目)などを利用。

    【診断】

    日本の婦人科外来のガイドライン1)では,診断は発症時期,身体症状,精神症状から行うとされる。イギリス月経前症候群協会(NAPS)のガイドラインに準ずる。明確な診断基準は掲げていない。

    診断には米国産婦人科学会の診断基準を参考とする(表1)。

    20_03_月経前症候群(PMS)

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