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骨盤内炎症性疾患

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-30
野口靖之 (愛知医科大学産婦人科学講座特任准教授)
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  • ■疾患メモ

    子宮,卵巣や卵管,S字結腸,直腸,ダグラス窩,膀胱子宮窩を含んだ小骨盤内における感染症を指す。これらは感染部位を正確に鑑別することが困難であり,子宮旁結合織炎を含め,骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease:PID)と臨床診断される。

    PIDは,腟内に存在する病原体が上行感染により子宮内腔,卵管を経由して骨盤内へ到達し引き起こされる。

    子宮旁結合織炎は,小骨盤腔内の骨盤壁,骨盤底筋群,膀胱,腟および直腸周囲の結合組織の炎症を指し,腟や骨盤内感染症がリンパ行性に結合組織に波及することで発症する。軟産道の損傷や産褥子宮内感染,子宮頸癌根治術後が主な原因である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    代表的な自覚症状は下腹部痛であるが,原因菌や感染部位により程度は多様である。また,時に帯下の増量,悪臭を伴う。

    【検査所見】

    血液検査では白血球増加とCRP上昇を認める。

    原因菌の検索は,抗菌薬を選択する上できわめて重要である。

    一般細菌は,子宮頸管検体をスワブにより採取し,グラム染色と好気性および嫌気性菌培養により検出する。

    〈主な原因菌〉

    腟および子宮頸管内に常在する一般細菌であり, Escherichia Coli(大腸菌), Klebsiella pneumoniae(肺炎桿菌),また,Streptococcus属やStaphylococcus属に分類されるグラム陽性球菌が分離される1)。

    嫌気性菌では,腸内細菌であるProteus mirabilisやBacteroides属,Prevotella属,陽性球菌であるPeptococcus属,Peptostreptococcus属が検出される。

    性感染症では,Chlamydia trachomatisNeisseria gonorrhoeaeMycoplasma hominisが原因菌となる。

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