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強迫症(強迫性障害)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-26
松永寿人 (兵庫医科大学精神科神経科学講座主任教授)
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  • ■疾患メモ

    強迫症(obsessive-compulsive disorder:OCD)は,一般人口中の生涯有病率が1~2%程度,男女比はほぼ同等で,平均発症年齢は男性がより若年の傾向であるが,20歳前後とされている。

    OCDは,侵入的で不適切なものと認識される持続的な思考,衝動,またはイメージなどの強迫観念と,手洗いや確認,心の中の行為などの繰り返しの行動(強迫行為)からなり,通常両者は併存する。すなわち,強迫行為の多くは観念に伴い増大した不安の緩和や中和化,あるいは苦痛の予防などを目的としている。

    OCDの診断では,これらが強い苦痛を生じていること,時間を浪費させていること(通常は1時間以上),日常や社会的,職業的機能に著しい障害をきたしていることなどが必須である。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    23_10_強迫症(強迫性障害)

    日本人によくみられる強迫症状とその割合をに示した。通常以下1)のような行為を伴う。

    汚染の心配(細菌やウイルス,排泄物,ゴミなどに関するもの等)による過剰な手洗いやシャワーなどの洗浄行為。

    車の運転中や歩行中,不注意から誰かを傷つけていないかと心配し(攻撃的な観念),あるいは仕事などの正確性にこだわり,繰り返される確認行為。

    完璧な左右対称など「まさにぴったり」感の追求から,納得できるまでものを整頓したり,やり直したりする儀式的行為。

    "4"や"9"などの不吉な数字へのこだわりと,数を数える行為。

    不吉感や性的,あるいは宗教的な考えや想像へのとらわれ。時に呪文やお祈りなど心の中の行為を繰り返す。

    家族に「大丈夫か」と繰り返し保証を求めること,強迫行為を強要すること,あるいは代行させること,などの巻き込み行為。

    【検査所見】

    OCDの重症度評価には,半構造化面接法のYale-Brown Obsessive-Compulsive Scale(Y-BOCS)を用いる。この得点が16点以上であれば臨床的に有意な強迫症状と考えられ,32点以上の場合,きわめて重度と判定される。

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