□性同一性障害(gender identity disorder)とは,生物学的には完全に正常であり,しかも自分の肉体がどちらの性に属しているかをはっきりと認識していながら,その反面で,人格的には自分が別の性に属していると確信している状態,と定義されている1)。
□正確な頻度は不明であるが,おおよそ成人男性の3万人に1人,成人女性の10万人に1人が性転換の手術を望んでいると考えられている2)。
□2003年7月に,性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(特例法)が成立した。この法律により,性同一性障害者は性別適合手術の実施を含む一定の条件のもとで戸籍の性別変更ができるようになった3)。
□2013年に改訂されたDSM-5では,診断名が性別違和(Gender Dysphoria)となり,診断概念もより広い意味を持つものに変更となった4)。
□小児期と青年・成人期では症状や診断基準は異なっており,ここでは青年・成人期の症状のみ扱う。
□反対の性に対する持続的な同一感:反対の性として生きたいと思う,反対の性に典型的な気持ちや反応を自分が持っているという強い確信がある。
□自分の性に対する持続的な不快感:自分の第一次,第二次性徴から解放されたいという強い欲求を持つ。
□性的な特徴を変化させるホルモン治療,手術,または他の方法を求める。
□その状態は,臨床的に著しい苦痛,または社会的,職業的,あるいは他の重要な領域における機能の障害がある。
□精神症状以外には,明瞭な身体的異常所見は認められていない。
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