編集: | 森田浩之(岐阜大学医学部附属病院総合内科准教授) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 184頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2010年08月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-6408-6 |
付録: | - |
愁訴をかき消してくれる医師を探し求めて来院する患者さんをどう診ればよいのか?「不定愁訴」が身体疾患、精神疾患のどちらのカテゴリーに属するのか?不定愁訴の症状からどのような病態および疾患を考えるか?悩めるジェネラリストのために、不定愁訴のスペシャリスト達が「不定愁訴」を真正面から取り上げ、日常診療に役立つ1冊の本にまとめました!
第1章 見わけが肝心,体の病気?心の病気?─身体疾患と精神疾患の鑑別
1 内科の立場から
2 精神科の立場から
第2章 痛み:訴えの見極め方と治療の極意─ケーススタディ
1 頭痛
2 舌痛
3 胸痛・胸部不快感
4 腹痛
5 会陰部痛
6 腰背部痛
7 関節痛
8 肩こり
第3章 神経症状:訴えの見極め方と治療の極意─ケーススタディ
9 しびれ
10 ふるえ
11 物忘れ
12 ふらつき・めまい
13 かゆみ・イライラ感
第4章 消化器症状:訴えの見極め方と治療の極意─ケーススタディ
14 味覚障害
15 食欲不振
16 嘔気・嘔吐
17 腹部膨満
18 排便困難
第5章 呼吸器症状:訴えの見極め方と治療の極意─ケーススタディ
19 喉の違和感
20 呼吸困難
21 咳
第6章 その他の症状:訴えの見極め方と治療の極意─ケーススタディ
22 動悸
23 全身倦怠感
24 発汗・寝汗
25 意欲低下
26 睡眠障害
27 起床困難
28 排尿困難・頻尿
29 のぼせ・冷え
30 月経困難症
診療お役立ちコラム
1 家族が教えてくれたヒント
2 39℃台の発熱があってもCRPは正常!?
3 総合プロブレム方式とは?
4 なかなか止められなかった嘔吐
5 漢方薬を強く希望する女性
6 不定愁訴と初期診療
巻頭言
読者の先生方は「不定愁訴」にどんなイメージをお持ちでしょうか? 「めんどう」「やっかい」「わけがわからない」「複雑」「時間がかかって仕方がない」など、ネガティブな印象を持つ医師がほとんどではないでしょうか?トランプのババ抜きのジョーカーのごとく、できれば来てほしくない、来たらすぐに隣の医師に回したい、そんな感情が自然に出てしまうのが普通だと思います。以前は私もそのような医師の1人でした。
大学病院の総合内科医という立場から、「不定愁訴」を避けて通ることができなかったこともありますが、何人かの患者さんの「不定愁訴」に対して、時間はかかりましたが何とか診断にたどり着き、適切な治療が見つかって「不定愁訴」が消えていくのを目の当たりにして、その考えが徐々に変わりました。いわゆる成功体験を積むことによって変わったのです。長く苦しんできた患者さんからは感謝され、自分自身も医師としての進歩を感じることができました。
本書は、第1章ではその「不定愁訴」が身体疾患、精神疾患のどちらのカテゴリーに属するのかをどのように鑑別するか、第2章以降は不定愁訴の症状からどのような病態および疾患を考えるか(ケーススタディ)の2部構成になっています。このように「不定愁訴」に対し、真正面から取り組んだ医学書はこれまでなかったと思います。
執筆者全員が岐阜大学医学部附属病院関連の精鋭の医師たちです。大学病院など基幹病院には、「不定愁訴」の患者さんが最後の助けを求めて多く訪れます。執筆者はいずれも「不定愁訴」のスペシャリストなわけで、本書では、愁訴ごとにその患者さんを多く診ている医師に分担執筆をお願いしました。「えっ、こんな病気があるの!?」という疾患も多く含まれていて、臨床的な読み物としてもなかなか面白く、きっと本書が読者の日常診療でもお役に立つことと思います。
多くの「不定愁訴」の患者さんが、愁訴をかき消してくれる医師を探し求めています。「不定愁訴」で困ったときには、是非本書を参考にして頂き、タイトルのごとく『いきなり名医』になって頂けることを強く期待しています。ジョーカーのように彷徨う患者さんのためにも、そしてそのような患者さんたちを診る先生方のためにも。
2010年8月
岐阜大学医学部附属病院総合内科准教授 森田浩之