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詳述!学べる・使える 水・電解質・酸塩基平衡異常Q&A事典【電子版付】

“水・電解質・酸塩基平衡異常”解説の決定版

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著: 杉本俊郎(滋賀医科大学総合内科学講座(地域医療支援)准教授)
判型: A5判
頁数: 514頁
装丁: 2色刷
発行日: 2019年08月30日
ISBN: 978-4-7849-5696-8
版数: -
付録: 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます)

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水電解質・酸塩基平衡異常の臨床に関する発表された“すべての論文・書籍等をすべて知る”,つまり,徹底した先行研究検討を行い,水電解質・酸塩基平衡異常の臨床に関する教科書的とされる知識の正確度について再検討を行っている著者が,腎生理学の解説書と,診断・治療アルゴリズムが主体となっている従来の水電解質・酸塩基平衡異常の臨床の解説書との橋渡しを行うことを目的に執筆。テーマを徹底的に細分化して記述しているため,効率的に必要な情報にアクセスできます。
タブレット・スマホ・PCのwebブラウザで閲覧できる電子版(HTML版)付きです。

診療科: 内科 腎臓内科

目次

1章 水・電解質異常の臨床
1 機能・生理編
Q01 水・電解質異常の診療の基本を教えてください
Q02 尿細管機能の基本を教えてください
Q03 尿細管の細胞が他の細胞と異なる点を教えてください
Q04 生体内Na代謝の調節機構を教えてください
Q05 近位尿細管機能における再吸収の基本機構を教えてください
Q06 近位尿細管における主な溶質の再吸収について教えてください
Q07 近位尿細管における分泌について教えてください
Q08 ヘンレ係蹄の構造と機能を教えてください
Q09 macula densaの構造と機能を教えてください
Q10 遠位ネフロンという概念について教えてください
Q11 遠位曲尿細管(DCT)の構造と機能について教えてください
Q12 結合尿細管(CNT), 皮質集合管(CCD)の構造と機能を教えてください
Q13 髄質集合管(OMCD,IMCD)の構造と機能を教えてください
Q14 生体内の水代謝の調節機構を教えてください
Q15 ネフロンの各セグメントにおけるNaと水の再吸収についてまとめてください
Q16 尿の濃縮の機構の基本を教えてください
Q17 ネフロンの各セグメントにおける尿素の輸送についてまとめてください
Q18 浸透圧利尿(osmotic diuresis)の機構について教えてください
Q19 生体内でのKの役割を教えてください
Q20 生体内K代謝の調節機構について教えてください
Q21 K代謝における腎臓の役割を教えてください
Q22 遠位ネフロンにおけるKの再吸収・分泌について教えてください
Q23 Kを多く含む食事を摂取しても,致死的な高カリウム血症をきたさない理由を教えてください
Q24 アルドステロンは遠位ネフロンにおいてNaの再吸収,Kの排泄の調節を行っていますが,この調節の詳細を教えてください

2 検査編
Q01 「腎臓の考えは尿細管腔の原尿の流れに現れる」とは, 具体的にどのような意味ですか?
Q02 水・電解質異常における血液電解質検査,血液腎機能検査,尿化学検査のみかたの基本を教えてください

3 各論 Na代謝異常
Q01 代表的な浮腫性疾患(うっ血性心不全, 肝硬変, ネフローゼ症候群)の病態を教えてください
Q02 利尿薬の基本について教えてください
Q03 利尿薬の作用部位による分類について教えてください
Q04 ループ利尿薬の使用の基本を教えてください
Q05 フロセミドを経口投与から静脈内投与へ変更する時のポイントを教えてください Q06 うっ血性心不全や腎障害時等の浮腫性疾患におけるループ利尿薬の投与の基本について教えてください
Q07 うっ血性心不全に対して,利尿薬による治療中に低ナトリウム血症が出現した時の対応を教えてください
Q08 ループ利尿薬の効果が減弱した時の対応法を教えてください
Q09 低アルブミン血症を呈するネフローゼ症候群や肝硬変等の浮腫に対して,アルブミンとフロセミドの同時静脈内投与が有効な理由を教えてください
Q10 利尿薬の腎機能に及ぼす影響について教えてください
Q11 利尿薬にてうっ血性心不全治療時に腎障害が進行した時の対応の基本を教えてください
Q12 サイアザイド系利尿薬使用の基本を教えてください
Q13 サイアザイド系利尿薬と併用して利尿効果が増すことが報告されている利尿薬は何ですか?
Q14 K保持性利尿薬の使い方の基本を教えてください
Q15 輸液療法の適応について教えてください
Q16 循環不全等に対する輸液(resuscitation)の基本について教えてください
Q17 輸液反応性について教えてください
Q18 Cl含量の多い輸液の問題点について教えてください
Q19 revised Starling principleについて教えてください
Q20 過剰輸液の問題点を教えてください
Q21 維持輸液の基本を教えてください
Q22 経口補水液について教えてください
Q23 下痢,ドレナージのからの腸液,膵液,胆汁等の体液のNa濃度等の含有電解質量について教えてください

4 各論 水代謝異常
Q01 高ナトリウム血症の成因とその病態の基本を教えてください
Q02 hypodipsic(adipsic)hypernatremiaについて教えてください
Q03 Na過剰による高ナトリウム血症について教えてください
Q04 高ナトリウム血症の成因の診断について教えてください
Q05 高ナトリウム血症の成因の鑑別に役立つ検査所見を教えてください
Q06 高ナトリウム血症や多尿の成因について, 腎機能検査における簡単な目安はありませんか?
Q07 高ナトリウム血症の補正の基本について教えてください
Q08 高齢者の高ナトリウム血症の特徴を教えてください
Q09 自由水クリアランスについて教えてください
Q10 多尿の鑑別を教えてください
Q11 多尿をきたす病態での尿量の決定因子について教えてください
Q12 尿崩症について教えてください
Q13 中枢性尿崩症について教えてください
Q14 腎性尿崩症について教えてください
Q15 リチウム製剤が腎性尿崩症を起こす機構について教えてください
Q16 低ナトリウム血症の臨床的分類とはどのようなものですか?
Q17 低ナトリウム血症の成因について, 診療に役立つ簡潔な考え方はありませんか?
Q18 偽性低ナトリウム血症について教えてください
Q19 低ナトリウム血症の症状を教えてください
Q20 自由水過剰摂取による低ナトリウム血症の病態を教えてください
Q21 beer drinker hyponatremia,tea and toast hyponatremia と呼ばれる低ナトリウム血症の病態を教えてください
Q22 hypervolemic hyponatremiaとはどのような病態ですか?
Q23 hypovolemic hyponatremiaとはどのような病態ですか?
Q24 高齢者に低ナトリウム血症が多いと聞きましたが,その特徴を教えてください
Q25 抗利尿ホルモン不適切分泌症候群(SIADH)について教えてください
Q26 内分泌性疾患に伴う低ナトリウム血症について教えてください
Q27 コペプチンについて教えてください
Q28 薬剤性の低ナトリウム血症について教えてください
Q29 運動誘発性低ナトリウム血症について教えてください
Q30 塩分喪失性腎症による低ナトリウム血症について教えてください
Q31 サイアザイド利尿薬による低ナトリウム血症について教えてください
Q32 ループ利尿薬とサイアザイド系利尿薬のどちらが低ナトリウム血症を起こしやすいですか?
Q33 尿閉時にみられる低ナトリウム血症の発症機序を教えてください
Q34 低ナトリウム血症の治療の基本について教えてください
Q35 低ナトリウム血症による重篤な症状への対応を教えてください
Q36 低ナトリウム血症に対する水制限について教えてください
Q37 3%NaCl液の作製法とその使い方を教えてください
Q38 低ナトリウム血症の補正時に,急速な血清Na濃度の上昇に注意すべき病態を教えてください
Q39 浸透圧性脳症について教えてください
Q40 SIADHによる低ナトリウム血症において「0.9%NaCl液の投与が自由水の投与になりうる」とは本当ですか?
Q41 うっ血性心不全や肝硬変等の浮腫性疾患の治療中に生じた低ナトリウム血症への対応を教えてください
Q42 担癌患者にみられる低ナトリウム血症への対応を教えてください

5 各論 K代謝異常
Q01 血清K濃度の異常によって生じる臨床的症状について教えてください
Q02 低カリウム血症の成因の診断の基本を教えてください
Q03 酸塩基平衡異常の状態の把握が低カリウム血症の成因の鑑別に役立つ理由を教えてください
Q04 ループ利尿薬とサイアザイド系利尿薬,どちらが低カリウム血症を起こしやすいですか?
Q05 低カリウム血症の治療の原則を教えてください
Q06 低カリウム血症の補正に,体内のMg欠乏も同時に補正する必要があることについて教えてください
Q07 高カリウム血症の成因について教えてください
Q08 高カリウム血症の成因の鑑別の基本について教えてください
Q09 薬剤性高カリウム血症について教えてください
Q10 重篤な高カリウム血症に対する救急的対応の基本を教えてください
Q11 高カリウム血症の治療における重炭酸の投与の意義を教えてください
Q12 経口K吸着薬について教えてください
Q13 慢性腎臓病における慢性的な高カリウム血症の臨床的意義を教えてください
Q14 慢性腎臓病の管理において,高カリウム血症をきたさないようにするコツを教えてください
Q15 腎障害のある症例に,リンゲル液等に含まれるKの投与が問題になりますか?

2章 Ca,リン,Mg代謝異常
1 Ca代謝異常
Q01 生体内でのCa代謝の基本を教えてください
Q02 腎臓でのCaイオンの動態を教えてください
Q03 測定血清Ca濃度について教えてください
Q04 尿中Ca濃度測定の意義を教えてください
Q05 血清Ca濃度異常に伴う臨床症状を教えてください
Q06 薬剤による高カルシウム血症について教えてください
Q07 高カルシウム血症に遭遇した時の対応の基本を教えてください
Q08 高カルシウム血症で多尿をきたす理由を教えてください
Q09 緊急性高カルシウム血症である,高カルシウムクリーゼに対する治療を教えてください
Q10 低カルシウム血症の成因の鑑別について教えてください
Q11 低カルシウム血症の補正の基本を教えてください
Q12 低マグネシウム血症による低カルシウム血症の成因について教えてください
Q13 尿路結石(特にCa結石)の予防について教えてください
Q14 骨粗鬆症について根拠のある治療を教えてください

2 リン代謝異常
Q01 生体内でのリンの代謝について教えてください
Q02 FGF23について教えてください
Q03 腎臓でのリン酸の動態を教えてください
Q04 TmP/GFR比について教えてください
Q05 高リン血症の症状とその成因について教えてください
Q06 高リン血症の治療の原則について教えてください
Q07 低リン血症の症状とその成因を教えてください
Q08 低リン血症の治療の基本を教えてください
Q09 リフィーディング症候群について教えてください

3 Mg代謝異常
Q01 体内でのMgの生理とその代謝について教えてください
Q02 Mgの腎臓での動態について教えてください
Q03 高マグネシウム血症の成因とその治療について教えてください
Q04 低マグネシウム血症の症状とその成因の鑑別について教えてください
Q05 低マグネシウム血症の治療について教えてください
Q06 Mg代謝とビタミンD代謝の関係について教えてください
Q07 低栄養やアルコール多飲者によくみられる, 低カリウム血症, 低カルシウム血症, 低マグネシウム血症,低リン血症の補正のコツを教えてください

3章 酸塩基平衡異常の臨床
1 生理・検査編
Q01 体内における代謝が酸塩基平衡に与える影響を教えてください
Q02 腎臓における酸塩基平衡調節の基本を教えてください
Q03 赤血球中のヘモグロビンが酸塩基平衡に与える影響を教えてください
Q04 血液ガスの機械で測定できる検査項目を教えてください
Q05 血液ガス検査において体温補正は必要ですか?
Q06 酸塩基平衡の解釈における「生理学的解釈」の基本と問題点について教えてください
Q07 アニオンギャップを用いた酸塩基平衡の解釈の問題点を教えてください
Q08 尿中アニオンギャップと尿中浸透圧ギャップについて教えてください
Q09 酸塩基平衡異常の解釈の過程が米国と日本で異なっているというのは本当ですか?
Q10 standard base excess(SBE)法の利点を教えてください
Q11 Stewart法について簡単に教えてください。また,臨床においてStewart法を使うと有用な場合を教えてください
Q12 酸塩基平衡異常の解釈には主なものが3つありますが,どの方法を使うべきですか?
Q13 救急室の血液ガス機械による乳酸測定において注意すべき点を教えてください

2 異常編
Q01 高炭酸血症とアシデミアpHの低下,症状発現に関与しているのはどちらですか?
Q02 慢性呼吸性アシドーシスの腎性代償について教えてください
Q03 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪時にみられる電解質・酸塩基平衡異常について教えてください
Q04 慢性閉塞性肺疾患(COPD)等の換気障害により低酸素血症を認める症例で,O2投与によりCO2が蓄積してCO2ナルコーシスをきたす可能性があると言われていますが,そのメカニズムを教えてください
Q05 呼吸性アルカローシスへの対応の基本を教えてください
Q06 過換気症候群等の呼吸性アルカローシスの病態で血中乳酸濃度が上昇することがありますが, その病態について教えてください
Q07 PaCO2の低下(hypocapnia)の症例で, 呼吸性アルカローシスか,代謝性アシドーシスの二次性変化か鑑別に困ることがありますが, その病態について教えてください
Q08 妊娠中の酸塩基平衡の状態の特徴について教えてください
Q09 代謝性アルカローシスの成因について教えてください
Q10 代謝性アルカローシスの成因の鑑別診断について教えてください
Q11 代謝性アルカローシスの呼吸性代償について教えてください
Q12 代謝性アルカローシスの治療の基本について教えてください
Q13 乳酸アシドーシスの成因,病態とその対応の基本を教えてください
Q14 D型乳酸アシドーシス(D-lactic acidosis)について教えてください
Q15 ケトン体が増加するケトアシドーシスの病態とその対応について教えてください
Q16 糖尿病性ケトアシドーシスについて教えてください
Q17 アルコール多飲に伴う酸塩基平衡異常の病態について教えてください
Q18 薬物等の中毒による代謝性アシドーシスの病態について教えてください
Q19 アスピリン過剰摂取時の酸塩基平衡異常について教えてください
Q20 慢性腎臓病,腎障害に伴う代謝性アシドーシスについて教えてください
Q21 高クロール性代謝性アシドーシスの病態とその対応について教えてください
Q22 腎尿細管性アシドーシス(Ⅰ型,Ⅱ型)について教えてください
Q23 Ⅳ型尿細管性アシドーシスについて教えてください
Q24 尿細管性アシドーシスは,実際の診療では稀な病気なので知らなくてもよいのではないですか?
Q25 アシドーシスで高カリウム血症をきたすメカニズムを教えてください
Q26 代謝性アシドーシスにおける重炭酸Na液投与の基本を教えてください

コラム① 市販のORSを「熱中症や脱水症の予防に有効」と拡大解釈するには注意を
コラム② 筆者が経験した2018年猛暑下の職業性熱関連疾患
コラム③ アニオンギャップの正常値
コラム④ 高浸透圧高血糖症候群

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序文

―――――水電解質・酸塩基平衡異常がこんなに難しいわけがない
「水電解質・酸塩基平衡異常は難しい」という声を,臨床の現場においてよく聞きます。実際に,これまで水電解質・酸塩基平衡異常に関する多数の著作が刊行されてきたにもかかわらず,今,筆者が本書の巻頭言を著しているということが,「水電解質・酸塩基平衡異常は難しい」,そして,「もっと簡単に理解しやすい本はないのか?」という日々の臨床に携わっている先生方の要求が存在する根拠となると思います。
平成の30年間, 腎臓内科医として水電解質・酸塩基平衡異常の臨床を専門としてきた筆者が,「水電解質・酸塩基平衡異常は難しい」という誤解が生じている理由として,2つのことを考えています。
1つは,米国腎臓学会の卒後教育プログラムであるNephSAPにおける水電解質・酸塩基平衡異常の特集号(2013,2015,2017年)の最初に記載されている「ここ数年,水電解質・酸塩基平衡異常の臨床の分野には,質の高い臨床研究が存在しないので,各々の症例を中心にして検討したい」(筆者意訳)というものです。この記載は,現在の臨床医学における有用な武器の1つである,「多数の症例を臨床疫学的観点から検討し, 得られたエビデンスを用いて水電解質・酸塩基平衡異常に対応する」ということが困難であることを意味します。つまり,水電解質・酸塩基平衡異常を呈している各々の症例の,「ベッドサイドにおける病態生理を理解して対応しなければならない」ということです※。
もう1つは,水電解質・酸塩基平衡異常の病態生理を理解しやすくするために(本当のところは病態生理を完全に理解しなくても),数多くの診断・治療アルゴリズムが開発されてきたものの,そのアルゴリズムの臨床的エビデンスの質が低いためか(そのほとんどが1つの施設からの報告であることや,発表後アルゴリズムの有用性を検討されたものも少ない),臨床の現場でうまくあてはまらないことが多いことです(例;低ナトリウム血症のアルゴリズム。随時尿のNa濃度19mEq/Lと21mEq/Lで腎臓でのNa再吸収の程度の差が分けられるわけがないじゃないですか?)。
つまり,アルゴリズムを有効に使用するためには,結局,各々の症例の「ベッドサイドにおける病態生理の理解」が必須となるという無限ループを形成することが「水電解質・酸塩基平衡異常は難しい」という誤解の原因ではないでしょうか。
このような現状を打破するために,最近はわが国においても臨床に役立つことを目的とした,腎生理を解説する優れた著作が発行されつつあります。しかし,日々に臨床に忙しい先生方にとっては,「いまさら腎生理を勉強しなければならないのか」というお考えもあるかと思います。
そこで,本書の目的を,「腎生理学の解説書と,診断・治療アルゴリズムが主体となっている従来の水電解質・酸塩基平衡異常の臨床の解説書との橋渡しを行うこと」としました。多忙な臨床の現場でも効率良く学習できるように,水電解質・酸塩基平衡異常の病態生理の理解に必要である腎生理・臨床的な知識を疑問の形で項目別に挙げ,その各々に簡潔に(大胆に)答えて解説していくという構成としました。各々の項目は完結しており,日々項目ごとに少しずつ読んでいただければ,「水電解質・酸塩基平衡異常は難しい」という誤解を解くのに役立つのではないかと筆者は考えています。
最後に,筆者に本書を執筆する機会を与えてくださり,企画・編集に多大なご尽力を賜りました日本医事新報社の磯辺栄吉郎氏,松本小夜子氏,今までに筆者に水電解質・酸塩基平衡異常の臨床を教えてくださった患者さん達に心から感謝の意を表します。

※低ナトリウム血症の診断アルゴリズムより病態生理的アプローチが有効であるという論文
▶Hoorn EJ, et al : QJM. 2005 ; 98(7) : 529-540. [PMID : 15955797]
令和元年7 月 杉本俊郎

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正誤情報

下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。

・ 88ページ 表1 「病態」列の2行目

〈誤〉「腎不全」→〈正〉「腎不全,心不全」

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・ 237ページ 図2 「結果」の囲み内の右下,下から4行目

〈誤〉「血清Na濃度の補正 7人」→〈正〉「血清Na濃度の過剰補正 7人」

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・ 237ページ 図2 キャプション2行目

誤:…ODS(MRI で検出)は8例(全員過剰補正例)しか生じず,…
正:…ODS(MRI で検出)は8例(全員過剰補正例)しか生じず,…

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・ 241ページ 文献下の記載,下から1〜3行目

〈誤〉「0.9%NaCl液2Lを24時間かけて投与後は,尿の浸透圧が300mOsm/kgの症例では0.9%NaCl液をさらに投与しても血清Na濃度の上昇はみられなかった。」→〈正〉「血清Na濃度の変化は,0.9%NaCL投与前の尿Na+K濃度に相関がみられず,投与後の尿Na+K濃度に相関がみられた。」

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・ 6ページ A本文上から9行目

〈誤〉「…細胞内Na濃度が高く・K濃度が低く維持され…」→〈正〉「…細胞内Na濃度が低く・K濃度が高く維持され…」

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・ 439ページ 図1 中ごろ

【誤】NAD + H
【正】NADH

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・ 281ページ 下から3行目

〈誤〉「血清K濃度と同程度のKを含む…」→〈正〉「正常血清K濃度と同程度のKを含む…【より正確にするための変更です】」

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・ 224ページ Aの5行目

〈誤〉「…自由水の摂取(低張液の輸液等)を中心することです。」→〈正〉「…自由水の摂取(低張液の輸液等)を中止、もしくは制限することです。」

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・ 9ページ 図2の解説

本記載につきまして,より正確を期すため,下記のように改変させて頂きます。

【改変前】
尿細管細胞膜(管腔側,血管側)には,チャネル(濃度差,電位差,浸透圧格差で移動),ATPのエネルギーを利用するATPase,Naイオン等とともに物質を移動させる共輸送体,countertransporter(電位的中性の法則に従う)等が存在し,物質の再吸収・分泌を行っている。

【改変後】
尿細管細胞膜(管腔側,血管側)には,物質の通り道(孔;pore)であるチャネル(濃度差,電位差,浸透圧格差で,物質が移動)と,エネルギーを使って能動輸送を行うトランスポーター(ATPのエネルギーを利用するATPase),Naイオン等とともに物質を移動させる共輸送体(co-transporter),対向輸送体(counter-transporter,電気的中性の法則に従う)などが存在し,物質の輸送の再吸収・分泌を行っている。物質がpore内を移動するチャネルを介した輸送は,その速度が大きいのが特徴であるが,濃度格差等に対向しての物質の輸送は不可能である。一方,トランスポータによる物質の移動は,毎回物質がトランスポーターに結合することで行われることから,その輸送に時間を要し,輸送閾値も存在する。しかし,エネルギーを使う能動輸送より,濃度格差に依存しない輸送が可能である。

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