編: | 川西秀樹(特定医療法人あかね会 土谷総合病院副院長) |
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判型: | A5判 |
頁数: | 216頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2019年03月20日 |
ISBN: | 978-4-7849-4822-2 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
オンラインHDF 総論
1 オンラインHDFとは―歴史,分類,原理
2 海外オンラインHDFの現状と臨床成績
3 わが国のオンラインHDFの現状と臨床成績
4 オンラインHDFに用いられるヘモダイアフィルタの変遷とその条件
5 オンラインHDFにおける水質管理の変遷とその基準
6 オンラインHDFの生体適合性
7 オンラインHDFの新たな展開と期待(装置の開発,長時間,頻回HDFの可能性など)
オンラインHDF 各論
8 前希釈・後希釈オンラインHDF,IHDFの選択基準
9 オンラインHDF装置の特徴とその保守管理
10 オンラインHDF装置における水質管理の実際
11 オンラインHDFの施行条件の実際
12 オンラインHDF(IHDFも含む)におけるヘモダイアフィルタの選択基準
13 IHDFの実際と臨床成績
14 オンラインHDFの透析関連症候への効果
15 オンラインの透析低血圧への効果とその治療条件
16 オンラインHDFの掻痒症への効果とその治療条件
オンラインHDF療法は1987年に米国Lee Hendersonが考案して以来,Jonas Bergström,Stanley Shaldonらのヨーロッパ学派を中心に発展してきた。1983年にはInternational Society of Hemofiltrationが開催され,これはその後International Society of Blood Purification(ISBP)に変わり現在まで継続されている。またわが国でも1977年ころより太田和夫先生を中心にHDFシステムの開発がなされていた。これら透析療法の巨人たちは既に他界されているが,彼らのアイデアから多くの新たな透析治療が生まれ,そのひとつとして1980年代よりHDF療法が誕生してきたのである。
わが国で広まったのは1993年の阿蘇カンファレンス以降で,九州HDF検討会,日本HDF研究会を中心に透析液清浄化と除去理論を両輪として発展してきた。さらに2010年以降の診療報酬への編入により症例数は急速に増加し,2017年末では血液透析患者の30%近くを占めるまでになっている。このようにオンラインHDFは既に血液透析療法の主たる形態として定着していると言える。
透析液清浄化に関しては2007年に日本透析医学会より基準が示され,それ以降大半の施設で清浄化が達成されるようになり解決した。しかしながら,オンラインHDFの臨床上の効果に関してのエビデンスはいまだ十分ではない。そのため,実際の適応も不明確で,多くは“医師の気分”で選択されているのが現状である。その治療条件も明確な基準が定められておらず,一度条件が固定されると変更もあまりなされていないのもよく見る。
また最近のヨーロッパを中心とするランダム化比較試験や観察研究では置換液量の増大と生命予後改善効果が示されているが,置換液量の増加と除去物質との関連は示されておらず,浄化目標が不明確である。このように不確実な理論・適応・条件の下での施行では,HDF療法本来の有効性が発揮されていない可能性が憂慮される。
これらの疑問に若干なりとも回答が得られることを期待して,本書「病態に応じたオンラインHDF治療戦略」が編集された。この中で経験豊かな著者に病態や個々の症例に適した治療法・条件の選択を示していただいた。本書がHDF治療条件設定に役立つことを期待するとともに,透析患者のさらなる予後改善への一助となれば幸いである。
2019年2月
土谷総合病院 川西秀樹
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。