急性緑内障発作は,閉塞隅角機序により著しい眼圧上昇をきたして,視力低下,霧視,虹視症,眼痛,頭痛,悪心,嘔吐,対光反射の減弱・消失などの症状を呈することが多い。閉塞隅角機序としては,相対的瞳孔ブロック,プラトー虹彩形状,水晶体亜脱臼,後方因子が複合的に関与している。
眼痛,頭痛,悪心,嘔吐で眼科以外を受診した場合は,発作眼の視力低下と対光反射の減弱が,脳外科疾患・感染症と鑑別する所見となる。隅角は全周閉塞し,眼圧は40~80mmHgに上昇して浅前房,角膜浮腫,充血,中等度散瞳を伴いやすい。両眼とも水晶体が厚く前房が浅い場合は相対的瞳孔ブロック,前房が深い場合はプラトー虹彩形状,前房深度に左右差があって落屑・外傷の既往があれば水晶体亜脱臼,ぶどう膜炎の所見・大量の眼内出血などがあれば後方因子が疑われる。
相対的瞳孔ブロック,プラトー虹彩形状,水晶体亜脱臼に関しては,水晶体摘出術が根本的治療である。速やかに発作を解除することが最も重要であるが,早期に手術が困難であれば,レーザー治療を検討する。高齢者で認知症を合併していることもめずらしくなく,緊急の全身麻酔は生命に関するリスクがあるため,薬物治療で角膜が透明になり,指示に従える程度の認知症ならレーザー治療を選択する。急性緑内障発作から時間が経過し,光覚がなく,全身症状もない場合は,治療の適応はない。発作解除後も,眼圧測定,緑内障性視神経萎縮の評価,隅角癒着の程度などを評価し,必要に応じて点眼治療・白内障手術・流出路再建術・濾過手術を行う。非発作眼は必ず閉塞隅角を評価し,必要に応じてレーザー治療・白内障手術を行い,発作を予防する。
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