高血圧に伴い網膜血管は障害され,血流不全による網膜機能障害を生じる。初期には血管攣縮や血管トーヌスの上昇による血管狭細化が,慢性期には動脈硬化等の血管壁の変化がみられる1)2)。血管変化に出血や白斑等の網膜実質の変化を伴ったものを高血圧網膜症と呼ぶ。血圧の是正により,網膜実質の所見やそれに伴う自覚症状は軽快するが,重症度によっては視機能低下という後遺症を残しうる。
眼底検査において,出血,血液成分の沈着とされる硬性白斑や網膜浮腫(黄斑浮腫を含む),虚血による神経細胞の変化とされる軟性白斑などを検出する。両眼性で高血圧がある。糖尿病網膜症と鑑別する。部分的な視野の感度低下から,明らかな視力低下をきたす場合まで,眼底所見により症状は異なる。
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